親野先生に聞いた!休校や行事の縮小・中止が続き揺れる子どもの心をどうフォローする?
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オミクロン株の感染急拡大が子どもたちの生活を直撃しています。学級閉鎖や休校が相次ぎ、行事の中止や縮小も続くなど先の様子も見通せない中、子どもたちの気持ちをどう受け止め、声をかければいいのでしょうか。教育評論家の親野智可等先生から、気が沈みがちな子どものためにできることや、気を付けたいポイントをうかがいました。
子どもたちも鬱屈した空気の影響を受けている
オミクロン株の感染急拡大で、多くの学校が学級閉鎖や休校となりました。これまでも、子どもたちは初期の一斉休校から、行事の中止、縮小などで長いあいだ制約の多い生活を送ってきています。学校に行けたとしても、気を付けながら行動することを求められ、友達とじゃれあったり、顔をつきあわせて大声で笑い合ったりするのも控え、みんなが黙って給食を食べるような生活で、のびのび楽しむことは難しいでしょう。
楽しみにしていたイベントがなくなれば、がっかりしますし、友達と会えない日が続けば気が晴れず、ストレスもたまります。見通しが立たないことも不安です。また、子どもは、世の中全体の落ち着かない空気も感じています。そうしたことから、意欲がなくなったり、塞ぎがちになるかもしれません。子ども自身が気持ちの落ち込みを抱え込んだり、自覚せずにイライラしたりする場合もあるでしょう。
もし、子どもが不安や不満を口にしたときは、まずすべてを受け止める気持ちで共感してください。元気がないとき、塞いでいるときも「みんな大変だからがんばらなくちゃね」「元気を出せばいいことあるよ!」「学校に行けるだけでありがたいね」などの励ましの言葉をかけるのは、ちょっと控えて。プレッシャーを与え、心配や憂うつな気持ちを表しづらくなってしまいます。「本当に残念だよね」「これじゃ元気が出ないよね」など、子どもの気持ちを否定せず、十分受け止めてあげてください。そうすれば、子どもは話しやすくなり、溜め込んでいたものを吐き出すことができます。それによって心が軽くなれば、前向きな気持ちにもなり得ます。
励ましよりも共感と楽しみで気を晴らして
元気がないときは、家族でゲームなどを楽しむのもおすすめです。ふだんテレビゲームやオンラインゲームばかりという子どもには、ボードゲームのような昔ながらの遊びも新鮮です。トランプやカルタなどのカードゲームも、やってみるとドキドキして、面白いもの。しかも知的な刺激にもなります。どんなゲームがあるのか調べたり選んだりするところから、一緒に始めてもいいですね。
体を動かすことも、ストレス発散に。くすぐり合ったり、腕にぶら下がったり、大人の体によじのぼったり、親子でじゃれついて遊ぶのもいいですね。広い場所があれば、おいかけっこや相撲をしても。スキンシップは子どもをリラックスさせ、不安を解消します。
友達に会いたがっている場合、保護者間で相談ができればオンラインで子ども同士が会える時間をつくるのもいいと思います。会うのが難しい時期だからこそ、短い時間でも、顔を見て会話をするというのは大きな喜びです。ほかにも、子ども自身が好きなこと、やりたいことがあれば、思う存分できるように応援してあげてください。
大人にもストレスを吐き出す時間が必要
最後に、コロナ禍では大人にとってもストレスの多い状況が続いています。自分自身のストレスにも目を向け、発散させることを大切にしてください。おうちのかたの心に余裕がなければ、子どもの心を受け止めることも難しくなります。休校になれば、子どもの世話や家事、仕事の負担も増えるでしょう。すべてをいつも通りにこなすことは難しいので、手を抜けるところは手を抜いてもいいと思います。
親子で遊んだり、じゃれ合ったりすることは、おうちのかたにとってもストレス解消につながります。また、家族や友人など、共感してもらえる相手に、今の心配事や不満、鬱々(うつうつ)とする気持ちなども吐き出して。子どもにとって共感が癒しや力になるように、大人にも、励ましやアドバイスばかりでなく共感が必要です。言葉にすることで、自分の気持ちが整理できることもあります。自分自身の気持ちを軽くする工夫もしながら、コロナ禍をなんとか乗り切っていきましょう。
まとめ & 実践 TIPS
コロナ禍は、できないことがたくさんあって、子どもにとっても辛いとき。でも、家族でゲームをしたり、友達とオンラインで顔を合わせたりする「ちょっと特別な時間もある」と思えれば、子どもの気持ちは軽くなります。いつか振り返ったとき「あのときは楽しかったな」と思い出せる時間を少しでもつくってあげられるといいですね。
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