低学年からまるごと認めて褒め続ければ、子どもにとって「勉強=楽しい時間」に!

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国公立大学医学部に現役合格した2人の息子を持つ子育てアドバイザー・藤田敦子さんのモットーは、ほめる子育て。自分から進んで机に向かえる子どもにするために、幼少期からどのようなほめ方や学び方をするといいのでしょうか。

この記事のポイント

勉強=ほめられる時間、楽しい時間にする

—学習する習慣が身に付いていない子どもが、自分から机に向かえるようにするには、どうするとよいのでしょうか。

藤田:子どもが学校の宿題をしなくて困るといった話は、私もよく相談を受けます。ここは、演技力がカギとなります。うちは、長男が学校から帰ってきてランドセルを置いた瞬間、「学校へ行って疲れているのに、今から宿題やるんだって、偉いわ~」って、私が言いだすと、長男もやらなきゃって感じになって宿題をやり始めていました。そこでまた私が下の子に向かって、「ほら、見て! お兄ちゃんはもう宿題やってる! すごいわ~」って言うんです。「やりなさい」と一度も言わなくても、ほめ続けることで自然とやっていましたね。あとは子どもがゲームをしているときも、横で「今日の保護者会で先生が〇〇のことすごくほめてて、お母さんうれしかったわ」って言ったら、「そうか、それなら勉強でもするかな」ってやりだしたこともありました(笑)。

—ほめる声かけだけではやらない場合、次の手はありますか。

藤田:お母さんも一緒にやるといいと思います。うちは子どもが一緒にやりたいって言ったときは、私の分もプリントをコピーして一緒にやりました。百ます計算とか漢字の書き取りとか、学校の宿題であったんですけど、毎日やると飽きるじゃないですか。それもコピーして、「よーいドン!」で一緒にやっていました。100円ショップで売っているベルを買ってきて、早くプリントを終えたほうがチーンって鳴らすんです。私はもちろん、あとちょっとのところでわざと負けてあげます(笑)。「お母さん、がんばったのに、〇〇のほうが早い! 悔しい! 明日は絶対に勝つ!」って、ここも女優力です。うちはいつも宿題の時間がこんな感じで、親子ですごく楽しんでいました。それを見ていた次男も一緒にやりたいってなって、幼稚園の年中のときから、長男の1年生の宿題をコピーして一緒にやっていましたね。子どもはほめられること、楽しそうなことは進んでやりたいって気持ちになるんですよね。

勉強も習い事も好きになる「ママ塾」

—藤田さんは、お子さんが小さいころはご自身で勉強を見ていたそうですね。

藤田:私は、幼稚園から小学校低学年ぐらいまでは、お母さんがおうちで勉強を教える「ママ塾」をおすすめしています。ママ塾のメリットのひとつは、子どものペースでできることです。子どもってすぐに飽きるじゃないですか。それなのにいきなり小さいうちから幼児教室とか塾とかに通って、1時間ぐらいずっと座って勉強させて、できなくて嫌な思いをしたら、苦手意識になるかもしれません。でも、ママ塾なら、国語に飽きたら「じゃあ算数にしよっか」って次にいけたり、理科だったら公園で虫や植物を見て家に帰って図鑑を見たり、子どもの楽しめるペースでできます。

また、1年生ぐらいのときは膝の上で勉強させることもありました。そうすると勉強する時間がお母さんに甘えられる時間にもなって、子どもは喜ぶんです。プリントを持ってきて、膝に座るだけで、「勉強するんだね、偉いね!」って言ってほめたら、どんどん勉強が好きになっていきますよ。

—なるほど、まずはおうちでママに甘えながら勉強する楽しさを知っていくということですね。

藤田:昔から、子どもにはまず「読み書きそろばん」を身に付けるように言われていますが、私はそれより前に、一緒になって体験しながら勉強は楽しいものだって思えるようにしたかったんです。みなさんもぜひ、字を書く練習の前に、お母さんと工作したり、庭に植物を植えたり、勉強につながることだけど子どもにとっては遊びのような体験をさせてあげてほしいと思います。遊びでもなんでもお母さんがほめるから子どもはがんばれるので、勉強したらお母さんが喜んでほめてくれるという土台をつくるためにも、ママ塾から始めるのがいいと思います。おかげでうちの子たちは、勉強も習い事も楽しいと感じられるまま大きくなったと思っています。我が家は息子が小学生のころから母子家庭なのでママ塾でしたが、もちろんパパ塾でもOKです。

—習い事もママ塾からスタートされたのでしょうか。

藤田:はい。水泳は、私と一緒に市民プールで練習してから習いに行かせましたし、そろばんも最初は私が教えてから教室に通いました。

そろばんは本当におすすめの習い事だと思います。ひとつはやっぱり計算力がつくということです。計算力をつける方法はそろばん以外にもありますが、そろばんは玉を瞬間的に脳の中に置き換え、手指を動かすことで、アイデア脳の右脳と論理脳の左脳を同時に働かせることになります。受験会場にそろばんを持っていくことはできませんが、そろばんで暗算までできるようになっていれば、計算問題は確実に点数をとることができます。受験問題の中に計算問題は1割ぐらいしかありませんが、そこを早く確実にとれれば後半の難しい問題に時間がかけられますよね。物理や化学も難しくなってきたら計算力が大切になりますし、計算は絶対に間違わないという自信をつけるためにも、そろばんはいいと思います。うちは結果的に、長男はセンター試験本番の数学満点、次男は198点、物理と化学が満点でした。

自信を持っている子に育てることが、のちの成功につながる

—絵本の読み聞かせなども、積極的にやられてましたか。

藤田:図書館が近所にあって1人10冊借りられたので、3人で30冊借りておくという状態を常にキープしていました。借りる本はすべて私が選ぶのではなく、まず植物、動物、昆虫、工作などの本を私が選んで、残りは本人たちに好きな本を選ばせていました。ワクワクしながら選ぶ楽しみを体験させてあげて、選んだ本を一緒に読みながら「この本、面白いね。借りて良かったね」と声かけをしていました。

読み聞かせを寝る前にするかたも多いみたいですが、私は寝る前には読みませんでした。寝るときは寝ることに集中したいし、寝る時間になっても「次はこれ読んで」って続くとイライラしちゃうじゃないですか。私は自分が怒ることにつながることはやらない主義なので(笑)、昼間の時間に膝の上に座らせて読んでいました。次男は大きくなった今でもすごく本が好きな子です。

—小学校高学年に向けて、低学年のうちにしておいたらよいことは何でしょう。

藤田:お母さんにはぜひ子どもの困ったこと、どうしたいと思っているかをいっぱい聞いて、いろいろしてあげてほしいと思います。自己肯定感が高い子、根拠のない自信を持っている子に育ててあげることが、のちのち、受験も含めて成功につながると思っています。それにはまず、お母さんが子どもを丸ごと認めて、すごいね、がんばったねってほめ続けることです。

まとめ & 実践 TIPS

勉強も習い事も好きな子どもに育てようと思うのなら、はじめの一歩が肝心。自己肯定感や根拠のない自信を持つことが人生の成功につながるのだと信じて、親としてもがんばってあげたいところです。

取材&文/井上加織

プロフィール

藤田敦子

藤田敦子

ぺたほめ医専アカデミー代表。日本心理学会認定心理士・日本心理学会正会員。同志社大学文学部心理学専攻卒業。ほめて育てるをモットーとした「ぺたほめ®︎子育て術」で、息子2人を国立医学部現役合格に導いたシングルマザー。2018年より子育てアドバイザーとして、「ぺたほめ医専アカデミー」を設立。3歳~小学3年生の子どもの親を対象とした「ぺたほめ本気塾」を開講するほか、0~18歳の子どもの親を対象にしたパーソナルサポート、セミナーなどを開催し、日々活動を広げている。著書に『親もビックリ魔法の子育て術!「ぺたほめ」』(マガジンランド)、 『母親が変わればうまくいく 第一志望校に合格させた母親がやっている子育て39』(講談社)がある。学習雑誌『小学一年生』の『小一』ママの子育て相談室(小学館)連載中。オフィシャルブログhttps://ameblo.jp/petahome/

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