子どもをほめた数、叱った数、どっちが多い?夜回り先生が語る「子どもの自己肯定感を育てるために親ができること」

我が子が幸せな人生を送れるようにと思うあまり、知らず知らずのうちに親が先走ってレールを敷いてしまうことはないでしょうか。
子どもが幸せに、笑って人生を送るようにするためには、親はどうあるべきなのでしょうか。
「夜回り先生」こと水谷修さんにお話を伺いました。

この記事のポイント

子どもには自分が選択した人生を幸せに生きる権利がある

我が子に幸せになってほしいなら、まずは子どもに夢を託さないでください。
そもそも子どもは独立した人格です。子ども自身が、自分で選択した人生を幸せに生きる権利があるし、義務がある。それを、親が自分の価値観で追い込むようなことをしたら、子どもはパニックを起こします。なかにはその方法でうまく伸びる子も多少はいるかもしれないけれど、ごく少数です。

人間は、とくに子どもたちは、無限の可能性を持っています。その可能性の中で、学校の教員が評価できる体力・技術・知識・能力なんてほんの一部なんです。
ある子は、周りの人に対する優しさがピカイチかもしれないし、ある子は物の片付けが、非常に優れてできるのかもしれない。

学校で教える教科だけが、その子の才能ではありません。その子がいちばん優れて、いちばん自分が大事にしたいものを自分から見つけ出して、それを伸ばすために栄養を与えるのが、本当の親の仕事なのではないでしょうか。

子どもに親の価値観を押し付けてはいけないのです。
子どもが本当に幸せであるとはどういうことか。実力の伴わない進学先を選ばせたり、苦手なことばかりを強いられたりするのはつらいだけです。
自分が本当に伸びるはずではないところで、無理やり伸ばそうとされるから、心を病んでしまうのではないですか。

いちばん幸せな生き方は、自分に合った「分相応」の生き方をして、笑うことなんです。

無理を強いた結果がどうなるのか。そこから学ぶべきこと

子どもには、自分の持っている本来の姿と、葛藤(かっとう)しながらも調整して自分の生き方を決めていく力があります。
ところが、そこに親が介入して、無理やり「がんばれ、やればできる」と言うわけでしょう。そして、思いどおりにいかなければ、その子どもたちは潰れるしかなくなるのです。

今、8050問題が非常に大きな社会問題になっています。無理やり大学に入れても結局そこでついていけなくて、社会に出ても自信がなく、心を閉ざして引きこもってしまった50代を、80代の親が面倒をみている、という現実があります。

教育の原点というのは、子どもをつくり上げることではなく、子ども自身が自分の限界や自分の能力を知り、自分自身でそれを育んでいけるような環境や知識を周りに置いてあげることです。そもそも、我が子は何ができなくたってかわいいでしょう。

心を病まないために、規則正しい生活は大切

子どもが潰れないようにするために、優先すべきは健康です。規則正しい生活をしていない子どもが心を病むし、非行に走る原因にもつながります。

今は、深夜まで家族みんな起きているような家庭が当たり前で、小学生でも夜11時や0時まで起きていることも少なくありません。その結果、朝眠くて起きられず、何回か学校に遅刻するうちに、教室に入るのがおっくうになり、だんだんに学校に通えなくなってしまうというケースはよくあります。
やはり規則正しい生活は非常に大事です。健全な肉体に健全な精神が宿る。これは真実ですよ。

体と心は一体です。風邪を引いて熱があったりおなかが痛かったりするときに、遊園地に行こうとか、買い物に出かけたいとは考えませんよね。失恋したりけんかしたりしたあとは、免疫力が低下して病気になりやすい。逆に体調がよければ、考えることも明るくなる。
体と心は常に一体です。

睡眠時間を優先して、そこから逆算して勉強の予定を立ててほしい

塾に通って、頭だけ鍛えても、体が弱くなってしまっては本末転倒です。
せっかく東大に行って一流企業に入っても40歳で病気になったのでは、それが本当の幸せな人生といえますか。

勉強のスケジュールを優先して就寝時間を決めるのではなく、健全な心や体の成長に必要な8時間の睡眠時間を確保して、逆算して勉強の予定を立ててください。そして、勉強する時間をつくったら、少なくてもそれと同じ時間だけ、勉強しない時間、体を動かす時間をつくってください。

幸せはどこにあるのかを、最初に考えてほしいです。心を健康に保つには、体を健康にすることが大事なのです。

子どもはいつもがんばっている。だから「がんばれ」という言葉は必要ない。

もう一つ、大切なことは、子どもをほめて育てること。
ほめることで自己肯定感を育て、自信を持たせる、これがすごく大事です。ところが、それができない親はとても多いです。

私は自分の講演会で、会場の保護者のかたたちに、こんな質問をすることがあります。
「子どもをほめた数、叱った数、どっちが多い?」
これには、100%の親たちが「叱った数が多い」と答えます。
また、子どもに「がんばれ」と言ったことがあるかと聞くと、みんな手を挙げます。

私はこれまで、自分の生徒、自分の子どもにも、「がんばれ」と言ったことはないです。だって子どもたちにとって、生きていること自体ががんばっていることなんですよ。
学校に通うことも、親と向き合うことも、がんばっているわけですよ。
さらに何をがんばれというんですか。

ほめて、自己肯定感をつくり、自信をもたせる

まずはほめて認めてあげてください。
こう言うと、「うちの子、ほめるところなんてないです」と言われたりしますが、どんな小さなことでもいいんです。とにかく今日子どもが家に帰ってきたら、「今日は元気だったね、いい子だね」と言ってください。そのときの目の輝きを見てください。

まとめ & 実践 TIPS

病んでいる子や引きこもっている子、夜の世界に入ってしまう子に共通しているのは自己肯定感のなさだと、水谷さんは言います。
ただ自信を持たせてあげること、それは、我が子のいいところを探すことでもあります。子どもを幸せな大人に育てるためには、子どもが選択した人生を幸せに生きる権利を奪わないこと。
そのために親ができることを考えたときに、違うことをしていたと気付いたなら、今日からできることで親自身が変わっていくことが、大事なのではないでしょうか。
取材・文/関川香織


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プロフィール

水谷修

水谷修

公立高校、特別支援学校、大学の教員として20年以上にわたり働き、並行して30年以上、子どもたちの非行防止や薬物汚染の拡大防止のための自主パトロール「夜回り」を行う。電話やメールによる子どもたちからの相談を受け、講演で全国を駆け回る。

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