子どもが毎日つまらなそう[教えて!親野先生]

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】

最近、子どもが毎日つまらなさそうにしています。コロナのせいで友達とも会えないし。宿題プリントはたまるし。家でダラダラしていることが多いので、叱られることも増えたし。

ソフトアプリ さん(小3 男子)

【親野先生のアドバイス】

拝読しました。
新型コロナのせいでやるせない日々が続きますね。
親も子どもも鬱屈とした日々を過ごしている方が多いと思います。
でも、そんな中、とても興味深い話を聞いたので紹介します。

小学3年生のS君のお母さんが言うには、S君は毎日充実した時間を過ごして楽しくてたまらない様子だそうです。
というのも、趣味のけん玉と工作と金魚やメダカの飼育をたっぷりやれるからです。

けん玉は動画サイトを見てやり方を研究しながらやっています。
できなかった技ができるようになると、うれしくてたまらない様子ですぐ見せに来てくれるそうです。
非常に大きな達成感があるようだとのことです。

工作についても、動画サイトやもともとあった本を参考にしながらいろいろ作っています。
材料や道具が散らかったままで片づけは苦手だそうですが、お母さんは目を瞑っているそうです。

金魚やメダカの飼育でも動画サイトや本を参考にしています。
メダカが大量の卵を産んで、それを別の水槽に移し替えることに熱中しています。
目に見えるか見えないかくらいの稚魚が孵化して、泳いでいるのを見ると、興奮しながら報告してくれるそうです。

この3つの趣味は、2年生の時からはまっていましたが、十分な時間が取れずにいました。
ところが、最近は新型コロナウイルス感染症への対策で家にいることが多くて、たっぷり時間が取れるので、彼は幸せそうだとのことです。

近頃は、2年生以前に凝っていたコマ回しとヨーヨーも再開したし、熱帯魚にも興味を持ち始めたそうです。

私は、この話を聞いていろいろなことと考えさせられました。
大人も子どもも、新型コロナウイルスのせいで鬱屈とした日々を過ごしている人が多い中でも、やりたいことを夢中でやっている人はいるし、そういう人は幸せに過ごせているのですね。

子どものとき、自分がやりたいことに熱中できるとよいことがたくさんあります。
まず幸せな気持ちで過ごせる時間が増えること自体が素晴らしいことです。
そして、それによってイライラやストレスへの耐性も高まります。

自分が満たされているので兄弟や友達などにも優しくなれます。
親にほめられる機会が増えるので親子関係もよくなります。
幸せな気持ちでいる時間が増えると、免疫力が上がって健康に過ごせます。

特定の分野に熱中することで、「これは自信がある。誰にも負けない」と思えるものができ、自己肯定感が高まります。
すると、他のことでもがんばるエネルギーが湧いてきます。

好きなことに熱中して脳をフル回転させているときに、脳の神経細胞(ニューロン)同士をつなぎ合わせるシナプスがどんどん増えるので、処理能力が上がって地頭がよくなります。
地頭がよくなると、当然ながら、いわゆる勉強についてもよい影響が出てきます。

自分がやりたいことに熱中する楽しさを知ることで、自分がやりたいことを自分で見つけてどんどんやっていく主体的な生き方ができるようになります。
言い換えると、自己実現力がつくということです。

そして、こういったことは全て大人にも当てはまります。

さらに言えば、このように自分がやりたいことに熱中してどんどんやるというのが、これからの時代で幸せになるために一番有効な人生戦略でもあると思います。

世間を見ると、大人でもそういう人たちが幸せになっているのがわかります。
そういう人たちは、みんなスペシャリストとして一定のリスペクトと収入を得ています。
オタク的な生き方といってもいいでしょう。
これからの時代は、一応何でもできますというジェネラリストよりも、スペシャリストの方がよいのです。

ということで、感染症への対策をした上で、子どもが好きなことややりたがることを応援して、十分やらせてあげてください。
まだそれが見つかっていない場合は、お試しでいろいろチャレンジさせてあげてください。
お試しでいろいろやっていれば、「これは」というものが見つかる可能性が高まります。

私ができる範囲で、精一杯提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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