志茂田景樹氏がすすめる「絵本の読み聞かせ」 対象年齢はこだわらなくてOK
全国で絵本の読み聞かせの活動を続けている、小説家・絵本作家の志茂田景樹氏。絵本の読み聞かせは「対象年齢」にこだわらなくてもいい、と話す。その理由とは?
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子どもたちは、大人が思うよりも理解力があるものです。2~3歳の子どもでも、幼児向けの絵本ではなく、物語絵本のほうを好む子どもも多いんですよ。大人が思うよりも、子どもたちは、物語性というものを理解しています。意味のわからない言葉が出てきても、流れの中で理解したり、絵を楽しんだりしているのでまったく問題はありません。
ですから、絵本の対象年齢は「うちの子は3歳だから5~6歳用の絵本は難しい」と先入観を持たないでください。逆に、幼児絵本でも小学生が好きだと思うものもあります。『ぴょーん』(ポプラ社刊)なんて、1~2歳向けの幼児絵本なのですが、小学生の男の子は大好きですよ。
僕が結成した「よい子に読み聞かせ隊」では、読み聞かせのすばらしさや高揚感を知ってもらうため、フルートなどの楽器を使ったり、スライドを用いたりしています。しかし、これが「読み聞かせ」というわけではありません。また、読み聞かせは、理屈ではなく、その絵本が持っているイメージを感動とともに自然に伝えられるものなんです。ですから、大人も子どもと同じように、読み聞かせによって癒されますから、大人自身のさびついた感受性も少し落としてくれますよ。
ご家庭で気軽に、保護者のかたが、我が子と一緒に楽しい世界へ行ってこよう、そこで楽しんでこようという思いで読み聞かせをしてほしいですね。