運動が苦手な子に必要なのは?[教えて!親野先生]

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】

小2の息子は運動が全般的に苦手です。それで、何かのスポーツ少年団に入れようかと思っています。そうすれば少しは運動ができるようになるだろうし、体力もつくと思います。でも、本人もパパさんも反対しています。

ロカボさん(小2 男子)

【親野先生のアドバイス】

拝読しました。
親は子どもの苦手なことを克服させてあげたいと思うものです。
それで、次のような選択をすることがよくあります。

絵が下手だから絵画教室に入れる。
音楽が苦手だから音楽教室に入れる。
字が下手だから習字教室に入れる。

ところが、これがなかなかうまくいかないことが多いです。というのも、もともと苦手なことはやる気が出ないからです。当然、上達もしません。それで、子どもは親にも指導者にも叱られることが増え、毎日の生活が暗いものになります。そのストレスがたまると、子どもらしい快活さが失われ元気がなくなっていきます。

さらには、自己肯定感が持てなくなり自己否定感に凝り固まるようになります。自分はダメな子だと思い込み、何事においても自信が持てなくなります。さらには、嫌なことをやらせて、できないからと叱ってくる親に対する不信感が出てきて、いたずらに反発するようにもなります。

このような悪循環にならないためには、子どもがもともと好きなことや得意なことをたくさんやらせてあげることが大事です。運動が得意なら運動をやらせ、絵が好きなら絵画教室に、という感じです。もともと好きなことや得意なことならやる気が出ますし、上達もします。親、指導者、友達など、周りのみんなにほめられます。

自己肯定感が持てるようになり、「自分はがんばれる。できる」と思えるようになります。
すると、他のことでもがんばれるようになり、好きなことをやらせてくれて、たくさんほめてくれる親に対する信頼もわいてきます。このようなよい循環の中に子どもを置いてあげれば、子どもはぐんぐん伸びます。

もちろん、私は運動が苦手な子には運動をやらせなくてよいと言いたいわけではありません。大事なのは、本人が楽しくできる運動をやらせてあげることです。

例えば、次のようなものはいかがでしょうか?

親子じゃれつき遊び、遊具、風船バレー、風船サッカー、フリスビー、フラフープ、吹き矢、ダーツ、輪投げ、バドミントン、キャッチボール、インディアカ、ストラックアウト、ヨーヨー、一輪車、縄飛び、ホッピング、お手玉、メンコ、剣玉、竹馬、ゴム跳び、ケンケンパ、ハイキング、カヌー、サーフィン。

大人は「運動」「スポーツ」というと野球とかサッカーなどをイメージしがちですが、こういったものも立派な運動やスポーツなのです。これらは遊び感覚で楽しくでき、それでいてけっこう運動量が多いです。当然、基本的な運動能力を育てるのにも役立ちます。また、上達しやすいものが多いので、「本人なりの達成感」が持てて運動に対する自信も持てるようになります。

学校の体育でやらないマイナーなものなら、他の子がやっていませんので、「これなら誰にも負けない」と思えるようになります。もちろん、安全面の確保については親が責任もってしてあげる必要があります。触れ合いを兼ねて親子で楽しむといいと思います。

とにかく大事なのは、子どものころに「運動は嫌い。苦手」という劣等感を植え付けないことです。子どものころに、競争、勝ち負け、上手下手、苦手克服のため、などの価値観の中で運動させることが多いとそうなりがちです。

そうなると、大人になってから一切運動をしなくなることもあり、これは非常に大きな問題です。長寿社会においては、生涯にわたっていろいろなスポーツに親しみ、体力増進と健康維持に役立てることが大切です。勝利主義や根性主義のもとでは生涯体育・生涯スポーツの基礎づくりは絶対できません。「楽しく」と「本人なりの達成感」が基本中の基本です。

私ができる範囲で、精一杯提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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