「顔から手足が生えた絵(頭足人間)」とは? 顔が描けるようになるのは何歳から?

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子どもの絵はとってもかわいいですよね。ただ、足りない部分がたくさん。「鼻は?」「体がないよ」とつい言ってしまいたくなることもあるでしょう。実は、子どもの体や脳と同じように、絵にも発達段階があります。ちょっと足りない不思議な絵は、今しか描けない貴重なものなのです。

この記事のポイント

絵の描き方にも段階がある?! 顔が描けるのは3歳前後

少しずつ段階を踏んで成長していく子どもの絵。どの時期にどんな絵を描くのか、ちょっと見てみましょう。ただし、成長速度は人それぞれなので、絵が好きならどんどん描けるようになりますし、興味がなければゆっくりです。年齢はあくまで参考として見てください。

・「擦画(さつが)期」1~2歳ごろ

ぐちゃぐちゃと殴り描きをする時期です。何か意味のあるものを描くのではなく、「描く」ということを楽しみます。クレヨンやマジックなど、筆圧が弱くても描けるものを用意してあげるとより楽しめるでしょう。

・「錯画(さくが)期」1歳半~3歳ごろ

少しずつ丸や線などが描けるようになります。ただし、まだ意味はなく形もいびつ。先ほどの擦画期とそれほど違いを感じないこともあるでしょう。でも、経験を積むことで少しずつきれいな形になってきます。

・「象徴期」3~4歳ごろ

描いたものに名前を付け始める時期です。先ほどの錯画期に描いていた丸に「犬」「りんご」などと名付けて、意味を持たせるようになってきます。簡単な形を組み合わせて、顔のようなものも描けるように。絵を通したコミュニケーションもできるようになります。

・「カタログ期」3~5歳ごろ

知っているものを思い出して描けるようになる時期です。言葉が理解でき、記憶力なども発達してくるため、絵の世界が一気に広がります。保育園や幼稚園の行事、絵本の場面などを描いて楽しむのもこの時期です。

・「図式前期」5~6歳ごろ

空間認識ができるようになる時期。カタログ期では紙のいろんなところに絵を描いていましたが、この図式前期では地面を意識できるように。人や植物は紙の下の方に、雲や太陽は紙の上の方になり、横から世界を見たような絵になるのが特徴です。ただ、上から見たものが入ることもあるので、いろんな技法が混ざりあう面白い時期でもあります。

・「図式後期」7歳ごろ

見たものをそのまま描く「写実」というものができるようになります。見た通りに描くというのは、この頃初めてできるようになるのですね。ここに来るまでの段階で無理に足りないところを指摘すると、絵が嫌いになってしまうこともあるのでご注意を。

人が描けるようになるのは、だいたい3歳前後。「錯画期」で丸が描けて、「象徴期」で名前が付けられるようになってから、初めて人の絵になります。

「顔から手と足が生えてる!」今しか描けない子どもらしい絵

3歳ごろから描けるようになる人の絵ですが、ここにも段階があります。

始めは、丸い顔に丸い目が2つ、棒の口といったシンプルなものです。しばらくすると、ここに手足が出てくるように。顔から直接手足が生えているように見えるので、「頭足人(とうそくじん)」とよばれます。

大人から見ると足りないところだらけの頭足人ですが、子どもにとっては何の不思議もないそうです。それは、大人が「顔」だと思っているものが、子どもにとっては「その人全部(体全部)」だからです。また、頭足人が描けるようになったということは、人間に手足があるということを理解し始めた証拠でもあります。

ここから少しずつ、髪の毛や鼻などのパーツが出てきたり、体が描けるようになったり……。一本の棒だった手足も、少しずつ太くなってきます。ここまでくると、もう大人の描く絵と同じですね。

上手に人の形が描けるようになってから、頭足人に戻すことはできません。「描いて」と言えば描くことはできますが、小さいころ描いていた絵と同じにはならないでしょう。大人が頭足人を描いても、かわいくないのと同じです。

子どもが今描いている絵は、「今だけ」のもの。たった数年、段階によっては数カ月で終わってしまう貴重なものなのです。

口を出し過ぎず見守ることが大切

絵には発達段階があるので、無理に「〇〇を描いて」「体がないじゃん」と言わないようにしましょう。発達が追い付いていないものは、どんなに指導してもできません。むしろ、自分の絵を認めてもらえず、描くこと自体が嫌いになってしまう可能性もあります。

だから、口を出さずに自由に描かせてあげることが大切。集中している時は、そっと見守りましょう。絵が出来上がったら「丸が描けたね」「ママを描いたんだね、ありがとう」など、描いたものをそのまま言葉にして認めてあげれば◎です。「上手だね」と言わなくてもOK。何を描いたかわからなければ、「いっぱい描けたね」「青い色でキレイに描けたね」と伝えればよいです。

ただし、年齢が上がってくると「自由に描いて」と言われて困る子どももいます。そのような場合は「ママの絵を描いてほしいな」「昨日公園に行ったことを描いてみようか」と、何かテーマをあげるとよいでしょう。

まとめ & 実践 TIPS

大きくなってくると、大人と同じように写実的な絵になってきます。もちろんこれも素敵ですが、子どもらしいかわいさは減ってくるでしょう。

特に、頭足人などの絵はほんの少しの期間しか描けない貴重なもの。今しか描けない絵と、描いている時間は、きっと将来の宝物になるはずです。

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