「受験がつらい」は甘え?最後までがんばり続けるためにできることは
- 大学受験
受験本番がだんだん目の前に迫ってきている時期、それまでがんばっていたはずなのに、急に「受験がつらい」「もう勉強したくない」と手が止まってしまうことも。
推薦で合格して遊んでいる周りの人の様子が目についたり、模試や推薦入試で望む結果が得られず、自信を喪失してしまったりする場合もあるようです。
後悔のないよう、最後までがんばり続けるために保護者にできることは? トラストコーチングスクール認定コーチであり、3人の子どもの母でもある中原絵里子が一緒に考えたいと思います。
何と戦い、何と向き合いたくないのか
本番が直前に迫るにつれて「やっているはずなのに成果が出なくてつらい」「合格できるのか不安」など、これまでやってきたことに自信をなくして苦しくなることは多いものです。
我が家でも娘が受験を目前に控えた冬休みに突然ぱったり勉強しなくなり、マンガを読み始めてしまって、ヤキモキしたことがありました。「スポーツマンガを読んでモチベーションを上げようと思って」と言っていましたが、プレッシャーに押しつぶされそうになって、一時的に現実逃避したくなったのだろうと思います。
受験は、自分との戦いです。
やるしかないことは本人も自覚しています。
でも、つらい。
向き合いたくないのはきっと、「できない自分」です。
バツばかりの解答用紙、解説を読んでもまったく理解できない問題、ここまでやろうと決めていたのに半分も終わらないまま寝てしまったりスマホをいじったりしてしまう意志の弱さ。
目を背けたくなるものばかりですが、そこから逃げずに立ち向い、乗り越えた時に人は成長するもの。それは何にも代えられない、本人だけの得難い経験です。自分の弱さと向き合う勇気を持つ、それが受験で最も大切なことだと思います。
何をやる必要があるのかは、本人もわかっている
受験直前期になると、やるべきことはもうある程度限られています。
新しいものに手を出すよりも、これまでに解いた問題や模試、過去問などで間違えた問題を解き直し、次は正解できる状態にすること。
それが何より得点に直結することはお子さまもわかっているはずです。
ただ、間違えた問題を解き直すという作業は、気が乗らないもの。間違いを突き付けられるのは、誰だって楽しいものではないですから。
「やるしかないし、やるべきことはわかっている。でもできない」と「実際に机に向かって手を動かす」の間には大きな溝があります。焦らず責めず、まずはこれを乗り越えられるコンディションを整えることが大切です。
睡眠時間とバランスの取れた食事を確保する
乗り越えるためのコンディションづくりのひとつが、最低限の睡眠時間を確保すること。
不安から夜遅くまでスマホをいじってしまったり、あれこれ考えて眠れなかったりするかもしれませんが、7時間は寝たほうがよいと思います。
直前期は神経が高ぶっている状態が続くので、思っている以上に体は疲れています。
なかなかやる気になれなくて悩んでいるくらいなら、思い切って早く寝てしまう日をつくると、少しは気持ちも前向きになるかもしれません。
また、免疫力を下げないためにも食事はしっかり取ることも大切です。
我が家の受験生も「食べると眠くなるから」と昼食を食べたがらなかったのですが、「入試本番の日に昼食として食べるものに慣れておいたほうがいい」とアドバイスすると、昼食におにぎりとサラダを食べるようになりました。
勉強や心労によるストレスで負荷をかけているのですから、睡眠不足や空腹などで余計なダメージを与えないようにしたいもの。よく寝ておいしいものを食べれば、「またがんばろう」と気持ちも前向きになりやすくなるはずです。
ひとりになりすぎない
受験は孤独なもの。
「もし本番で緊張しすぎて力を発揮できなかったら」「これ以上伸びなかったら」など、あれこれ考えすぎて不安になることもあると思います。そういう時は、あまりひとりにならないほうがいいでしょう。
もちろん勉強はひとりで取り組むものですが、学校や塾の自習室など、知り合いがいる場所で帰り道や休憩時間などに軽く話すだけでも、「不安なのは自分だけじゃないんだ」と思えて、かなり安心するようです。
娘が大学受験の直前期には、兄とよく話していました。受験勉強の進め方や併願先の選び方、直前期にどんな音楽を聴いていたかなど、同じようにつらい思いをしながらがんばっていた人と話すことで、自分の中に不安をため込まずにすむので、プレッシャーを和らげることになっていたようです。
がんばり続けるために保護者にできること
受験まであともう少し。保護者のかたも、お子さまが後悔することがないよう、最後までがんばり続けてほしいと心から願っているはずです。自信を失くしたり、不安に押しつぶされたりしそうになっているのを見るのはいたたまれないものですよね。でも、これはお子さまが乗り越えなければならない壁であり、ここで自分との戦いに打ち勝つことができれば大きく成長できる貴重な機会。あれこれ口を出したくなるのをぐっとこらえて、見守りましょう。
「がんばれ」「やればできる」など、プレッシャーをかけるような言葉をかけるのも避けたほうがいいでしょう。何も言わないというのもつらいものですが、今は我慢することが親の務めと、ぐっと飲み込んでください。
この時期、保護者にできることはとにかく体調管理をサポートすることと、お子さまが安心して自分と戦える環境を整えること。そして、最後までお子さまを信じることです。
受験生は、最後の最後まで伸びます。
入試当日の朝まで、やれば伸びます。
でも最後に大きく伸びるのは、伸び悩んでいた時期にもあきらめずに踏ん張った人だけです。
ここが踏ん張りどころだと、粘れるかどうか。
そのためには、周りもそう信じることが大切です。
必ず乗り越えられると、最後までどうか信じてあげてください。
編集協力/Cue`s inc.
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