教育、激動の時代 お子さんに関係することは…… 高校入試、受験生・保護者は上位校志向[高校受験]

■高校入試、受験生・保護者は上位校志向

一般の新聞でも記事に教育ネタが多くなっています。「グローバル人材の育成」「教育委員会の在り方」「大学入試改革」……いろんな記事が紙面を飾っています。入試だけでなく、最近の教育関連の話題から、お子さんに関係するものを扱ってみましょう。

■今年2014年は画期的な年

本題に入る前にちょっとふれますが、今年2014年は、最後まで残っていた京都府の「総合選抜」(都道府県により仕組みは異なるが、高校の学校間格差の解消を目的として、数校全体の合格者を各校の学力レベルが同じになるように平均的に振り分ける制度)が廃止されるという、高校入試史上画期的な年となりました。また、お隣の大阪府が学区を撤廃したということで、この点でも今年は大きな変化がありました。

■志願者数が多いのはどこも「進学重点校」

まず、首都圏の1都3県について、2014年度入試で志願者数が多かった学校のベスト10を挙げてみます。下の表がそれです。


以前お話ししましたが、神奈川県、埼玉県は入試が1本化されて1回になっています。東京都は推薦入試が残っていますが、普通科の場合は推薦入試の定員は20%以下になっているので、ここでは一般入試の数字を取り上げました。千葉県は普通科の前期選抜の定員は30~60%となっていますが、ほとんどの高校が上限の60%を前期選抜で取っているので枠の大きい前期選抜を取り上げました。
これらの高校がどういう高校なのかということをおわかりいただくために、各都県が大学進学に力を入れる高校として指定している学校名を見ていきます。


表の校名を見ていくと、東京都は、「進学指導重点校」が4校、「進学指導特別推進校」が1校、「進学指導推進校」が3校と、なんと文京と狛江をのぞく8校が何らかの指定を受けている学校です。神奈川県は4校が「学力向上進学重点校」になっています。千葉県は3校が「進学指導重点校」ですが、このほか中高一貫校なので「進学指導重点校」の指定には入っていませんが、県立千葉は公立の難関進学校です。埼玉県は6校が「進学指導重点推進校」になっています。
つまり、2014年度入試では各都県とも非常に上位校志向が強かったことがうかがえます。どうしてこうした上位校志向になるのでしょうか。それは、大学生の就活(就職活動)に関する新聞記事などを読むと、難関大学と中堅大学とでは企業側の学生の扱いに大きな差があること、それを知った保護者の意向が大きく働いているからと考えられます。我が子を難関大学に進ませたいと願う保護者が、そうした大学への合格実績が高い高校を選んでいるということです。

上位校にチャレンジすることは望ましいことですが、志願者数が多いということは倍率も高くなり、それだけ不合格者も大勢出るということです。必ず私立の併願校も用意したうえで受けるようにしてください。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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