高校生のなりたい職業ランキングTOP10に「薬剤師」がランクイン! 気になる年収や向いているタイプは?

  • 進路・職業

高校生に、将来なりたい職業についてアンケートを実施しました。
この記事では、TOP10にランクインした一つ一つの職業について、仕事内容から将来性、そのための進路や適性まで、詳しい情報をお伝えしていきます。今回フォーカスするのは、第9位の「薬剤師」です!
第1位~10位までのランキングは、ページの最後で発表!

この記事のポイント

薬剤師って、どんなオシゴト?

病院や薬局などで、薬の管理・調剤を行う
薬剤師の代表的な仕事は、病院や薬局で薬を管理し、医師の処方せんに基づいて薬を調剤することです。

近年では、医師の処方せんを病院外の薬局で薬剤師が調剤するという、医薬分業体制が進んでおり、その役割はますます重要性を増しています。
薬局などで市販の薬について説明するのも薬剤師の仕事です。そのほかにも、製薬会社などの民間企業や官公庁で、調剤以外の仕事に携わる薬剤師もいます。

また最近では、臨床薬剤師が注目を集めています。臨床薬剤師とは、調剤や分析・研究をするだけではなく、ほかの医療スタッフとともに患者の元へ行き、服薬指導などを行う薬剤師です。一歩進んだ治療活動を担っているといえるでしょう。

薬剤師の職場として、最も多いのが薬局です。全薬剤師のうち半数以上は薬局に勤務しています。薬局での主な仕事は、処方せんの調剤、薬の服用方法についての指導、飲み合わせの確認などです。

近年では「かかりつけ薬剤師(薬局)」という考え方が広まっており、地域の薬の専門家として、一般の人の薬の相談に乗ったり、病院を紹介したりすることも大切な業務になっています。

次に多い職場は病院です。病院では、薬局と同じように薬の調剤を行うほか、臨床薬剤師として服薬指導も行います。

その際には、あらかじめカルテを見て病状を把握しておき、処方せんに疑問がある場合には医師に対して意見することもあります。
実際に薬を服用している患者を見て、副作用をはじめとした体調の変化をチェックする役割も担っています。加えて、病院の薬の管理を行うのも薬剤師の仕事です。

製薬会社など一般企業を職場とする薬剤師もいます。企業では、薬局や病院での業務とは異なり、薬の研究や開発、営業を行います。

薬剤師の働き方って、どんな感じ?

働き方は勤務先によって異なる。病院では夜勤があることも
前述のように、薬剤師の勤務先として多いのは、病院、診療所、薬局です。ほかにも、製薬会社や化粧品メーカーなどの企業で、製造管理者、品質管理者、研究員、毒物劇物取扱責任者などとして活躍している薬剤師もいます。勤務時間は、勤務する会社や病院などによって異なります。

調剤薬局に勤務する場合、多くは9時頃から勤務が始まり、10時頃からお昼にかけて忙しさのピークがやってきます。病院での診療を終えた人が次々とやってくるからです。大病院の近くの薬局なら、15時頃を過ぎると来客が落ちつき始めますが、診療時間の遅いクリニックに近い薬局の場合は夕方にかけて再び混み出すことも。いずれの場合も、空き時間を活用して、在庫の管理や事務仕事などをこなし、18時頃に退社となります。人によっては勤務終了後、薬剤師の勉強会に参加することもあるようです。
病院に勤務する場合には、夜勤(当直)が発生することがあります。月に2〜5回程度、各スタッフが交代で担当することが一般的です。当直ではない日はおおむね薬局の薬剤師と同じくらいの勤務時間で、残業がなければ夕方頃に勤務終了となるようです。なお、病院の中には、当直なしの採用を行っている施設もあります。

薬剤師の給料って、どれくらい?

給料
・平均給与 37万9900円/月
・年収 約544万円

※年収の計算方法:きまって支給する現金給与額(37万9900円)×12カ月+年間賞与その他特別給与額(87万7100円)
※厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」より
※10人以上の規模の事業所で働く薬剤師の給与月額男女計(平均年齢:38.6歳、勤続年数:7.6年、所定内実労働時間数:162時間、超過実労働時間数:12時間)

男女計の平均年収は約544万円。勤務先によっても異なりますが、基本的には「基本給+時間外(残業)手当+各種手当」が給与形態となっているようです。手当として支給されることが多いのは、職務手当、資格手当、住宅手当などです。また、管理薬剤師として薬局内の責任者になった場合には、さらに手当がついたり給与が増額されたりするようです。なお、調剤薬局と病院で働く場合の収入に極端な差はありません。

薬剤師の将来性は?

企業からのニーズや医療・介護職との連携も進み、役割が広がる
製造・販売などの工程の管理者や、医薬情報担当者として、製薬会社や化粧品会社などでは薬剤師の有資格者を必要としており、企業内スペシャリストとしての期待は高い様子です。

ただし2009年から、登録販売者の資格があれば、薬剤師以外でも一般医薬品の一部をドラッグストアなどで販売できるようになりました。この流れを受け、薬品の販売に従事する薬剤師のニーズは今後減っていくのでは?という見方もあります。

一方で、高齢化の影響を受けて、医療サービスの充実はこれまで以上に重要な課題となっています。

薬の専門家である薬剤師も、医療現場では既に「チーム医療」の一員として、薬物療法に積極的に関わっています。
調剤薬局の薬剤師は「かかりつけ薬剤師」として一般の人の薬や病気にまつわる相談対応を行っています。今後は医師や看護師、介護士と連携して、在宅医療に参加することもより求められていくことでしょう。

薬剤師の役割は、従来の「調剤をする人」というイメージを越えて、少しずつ広がりを見せています。医師をはじめとした医療・介護職との連携もますます強まると見られており、コミュニケーション能力が求められる場面も増えていくと思われます。

薬剤師に向いているのはどんなタイプ?適性は?

細心の注意力や責任感の強さが求められる
薬剤師は、人の命に直結する薬を扱うだけに、ミスが許されない職種の一つです。そのため、専門的な知識はもちろん、どんなに忙しくても冷静な判断力を維持できる資質が大切です。病院内の薬局には、たくさんの外来患者が処方せんを持って訪れます。短時間に多くの薬を調剤することになるので、機敏さや注意力、集中力も必要になってくるでしょう。
また、近年は「かかりつけ薬局(薬剤師)」という考え方が注目されており、一般の人の薬の相談に乗ったり、病院を紹介したりすることも薬剤師の重要な業務となっています。このような業務では、病気や薬で困っている一般の人にもわかりやすいよう、かみ砕いて薬の内容を説明できる表現力や思いやり、相手を尊重する姿勢なども求められます。どれも普段の生活の中で身につけていける力なので、薬剤師をめざすのであれば意識しておくとよいでしょう。
加えて、患者の信頼にこたえられるだけの強い責任感や倫理観、薬学部で学ぶうえで助けになる化学への強い関心などを備えていると、なおよいと思われます。

続いて、薬剤師になるための資格やコースについて考えてみましょう。関連する職業もあわせてご紹介します。

薬剤師になるには、どうすればいいの?

必要な資格や、薬剤師になるためのコースは?
薬剤師になるには、「薬剤師」の資格が必要です。そのためには、薬剤師の国家試験に合格しなくてはなりません。国家試験には受験資格があり、大学の薬学部か薬科大学に設置されている6年制の薬剤師養成課程を修了しておくことが必要です。

近年、薬剤師にはより幅広い分野において、臨床に関わる実践的な能力が求められています。
そのため国家試験では、基本的な知識などのほか、薬学全般にわたる一般的な理論や、医療を中心とした実践の場において必要とされる知識・技能・態度などが問われます。

試験問題は、必須問題と一般問題に区分されており、物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務といった幅広い科目から出題されます。6年間、大学の学びをしっかり修めなければ合格は難しいと思われます。

2019年に実施された国家試験では、1万4376人の受験のうち10194人が合格。合格率は約71%でした。新卒者だけに限れば、合格率は80%を超えています。ここ数年、薬剤師国家試験の合格率は約6〜8割で推移している様子です。

薬剤師に関連する職業には、どんなものがあるの?
薬剤師に関連した職業は、医療・看護系の職業から見つけることができます。例えば、以下のような職業です。

医師/歯科医師/看護師/保健師/理学療法士/臨床検査技師/診療放射線技師/作業療法士/細胞検査士/言語聴覚士/視能訓練士/はり師・きゅう師/音楽療法士/臨床工学技士/歯科技工士/歯科衛生士/薬品メーカー勤務/義肢装具士/柔道整復師/あん摩マッサージ指圧師/診療情報管理士

「チーム医療」が注目されるようになってから、薬剤師は上に挙げたほとんどの職業と協力して仕事を進めることが求められるようになっています。医療・看護系の中で進路を迷っている場合はもちろん、薬剤師になろうとはっきり決めている場合も、ほかの医療・看護系の職業がどのような役割を担っているのか、知っておくことをおすすめします。

高校生 なりたい職業ランキングTOP10

1位 地方公務員
2位 看護師
3位 保育士
4位 国家公務員
5位 一般事務
6位 ファッションデザイナー
7位 歌手・ミュージシャン
8位 ゲームクリエーター
9位 薬剤師
10位 技術系研究・技術者

意外に堅実な職業から、表現・クリエイティブ系の職業まで多彩なラインナップになっています。
高校生には、未来に向かって自分らしく、興味や関心を追いかけてもらいたいもの。そのためには、情報収集も欠かせませんよね。

まとめ & 実践 TIPS

高校生のなりたい職業9位の薬剤師は、病院や薬局などで、薬の管理・調剤を行うお仕事です。製薬会社や化粧品メーカーなどの企業で、薬に関するスペシャリストとして研究や開発などに携わる薬剤師もいます。近年では、「かかりつけ薬剤師」として薬や病気に関する相談対応を行ったり、「チーム医療」の一員として臨床に関わるなど、その役割は広がりをみせています。人の命に直結する薬を扱うことになるので、専門的な知識やどんなときでも冷静に対処できる判断力が必要なのはもちろんのこと、病気や薬に悩む人々への思いやりや、多くのスタッフと協働できるコミュニケーション能力も求められる職業です。

「薬剤師になりたい!」と考えている高校生は、どんなところに魅力を感じているのでしょうか?この情報も手がかりのひとつにして、夢に向かって進み続けてくださいね!

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ランキングは2018年8月~9月に実施した高校生対象のWEBアンケートの結果
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