薬学ってどんな学問?学ぶ内容や関連する職業についても紹介!
世の中にはたくさんの学問があります。どんな内容で、何を学んでいくのか知っておくことは、自分の興味や関心の方向性を探れるだけでなく、進路を決めるためにも大いに役立つでしょう。今回は「薬学」を取りあげます。
この記事のポイント
薬学とは?
薬学とは、医学分野とも協力しながら、人々の回復を手助けする「薬」の可能性を追究する学問です。医学は大きな進歩を遂げていますが、一方で新しい病気も次々に発見されています。これらに対し新しい治療薬を開発することや、副作用を研究すること、より効率的な製造法を生み出すことが、薬学に課されたテーマです。
薬学が発展することで、多くの人々が時間をかけて病気と闘ったり、あるいは完治しにくい病気とうまく付き合って生活したりすることができます。
薬学ではどんなことを勉強する?
薬学には、「薬剤師を養成すること」と、「研究者を養成すること」という大きな二つの側面があります。
薬剤師を養成するための薬学
薬剤師になるには、6年制の薬剤師養成課程で学び、その後「薬剤師国家試験」に合格しなければなりません。国家試験では、基本的な知識だけでなく、薬学全般にわたる一般的な理論や、医療を中心とした実践の場において必要とされる知識・技能・態度などが問われます。具体的な科目は、物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務などで、薬剤師になるためにはこれらを学ぶ必要があるのです。
研究者を養成するための薬学研究分野は、主に次の系統に分類して考えられます。
製薬学系:新しい薬の開発や、効率的な生産方法を研究
医療薬学系:薬の病気に対する作用、副作用、適切な使用法を研究
衛生薬学系:医薬品や食品添加物の特性、人体への影響などを研究
生物薬学系:微生物などの生物を利用したワクチンの作用や安全性などを研究
自分が研究したい分野に進むためには、大学でどのような学科が用意されているかも調べておく必要があるでしょう。卒業後に研究者として働くための養成課程もあります。
他の分野とも連携した幅広い研究が求められる
その他にも、医学、バイオテクノロジー、CG(コンピュータグラフィックス)の活用など、他の学問・分野と連携した研究が積極的に進められています。
医学が進歩した現代においても、癌や心臓疾患などによる死亡率は依然として高いままです。新しい病気も次々と発生しています。新たな治療薬の開発、製造法などの研究は、今後さらに重要となってくるでしょう。
薬学の講義はどのように設定されているか
薬学の科目は大きく分けて二つ
薬学には、大きく分けて二つの分野の科目が設定されています。そしてそれぞれに、講義、実験、実習があります。具体的にどのような内容を学ぶのかは以下の通りです。
基礎薬学:有機化学、薬化学、無機化学、分析化学、物理化学、放射化学、高分子化学など
応用薬学:製薬学系、医療薬学系、衛生薬学系、生物薬学系
実験・実習は欠かせない
医学と同様、薬学研究においても実験・実習は非常に重要です。調剤(薬局や病院の薬剤部で行われる薬の調合)、製剤(製薬会社での薬の製造)の基礎技術を学ぶだけでなく、実際に薬を作ったり患者に薬の飲み方を教えたりする実習などもあります。
薬学を学んだ人々の卒業後の進路
薬学を学んだ後の進路には、大きく分けて二つあります。それが、「薬剤師」と「研究者」です。それぞれ具体的にどのような仕事内容なのか見ていきましょう。
薬剤師として働く
薬剤師の免許取得後、調剤業務に就いて患者に密着した形で働くのが薬剤師です。薬剤師が働く職場には以下のような場所があります。
・薬局
・病院
・診療所
薬局でも病院・診療所でも基本的な仕事内容は同じです。薬を管理したり、医師の処方せんに基づいた薬を調剤したりしています。近年は、医師の処方せんを病院外の薬局で調剤する「医薬分業体制」が進んでいることもあり、薬剤師の役割はさらに重要視されているようです。
研究者として働く
薬の開発や改良、製品開発などをするのが研究者です。研究者は以下のような場所で働いています。
・厚生労働省などの官公庁
・大学
・衛生試験所
・製薬会社
・食品メーカー
・化粧品メーカー
研究者の仕事は、製品化の実現だけでなく、企画立案や品質検査、技術指導や管理など多岐に渡ります。つまり、薬や製品の開発・改良におけるほとんどの業務に関わっているということ。それだけ高度な専門知識が求められます。
その他にも、大学院に進学してさらに薬学の研究を進めるケースも多いようです。
まとめ & 実践 TIPS
薬学を学んだ先には、薬剤師か研究者かの二つの道があります。ただ、働く場所や内容は違っても、どちらも病気で苦しむ人々を支えたり救ったりする大事な仕事に変わりはありません。薬学という学問は、多くの人々を救うために欠かせない学問なのです。
薬学を学びたいと考えている人は、目指す職業に合った大学や学科が選べるよう、学校案内などでしっかりと調べておきましょう。
参考:薬学│学問・大学情報|Benesse マナビジョン
http://manabi.benesse.ne.jp/shokugaku/learning/system/043/