【小論文書き方講座16】 「自分に引きつける」ってどういうこと?

どんなに大きなテーマでも自分との接点は必ずある!

小論文の問題には、「自分に引きつけて考えを述べよ」という設問があります。「自分に引きつける」とは、設問のテーマと自分との接点を探し、それを足がかりに考えを深めることです。

とはいえ、「そんなこと言われても、小論文のテーマって『環境問題』『生と死』『文化』とか堅苦しいし、壮大な話が多くて、自分とは何の接点もないよ! 自分に引きつけるなんてムリ!」と思っている人もいるのではないでしょうか?

そこで今回紹介するのは、自分に引きつけて考えるためのコツです。このコツさえ身につければ、どんなに堅苦しくて壮大なテーマでも、必ず自分に引きつけて考える糸口が見つかるから大丈夫!

自分に引きつけて考える3つのコツ

【コツ1】身近なテーマに対して自分の意見を持ち、その理由を考えてみる!

いきなり大きなテーマで考えるのは難しいので、まずは「身近なテーマ」から考えてみましょう。ここで基本を身につけておけば、大きなテーマについても少しずつ考えられるようになっていきます。

例えば、「制服」。
皆さんは学校の制服について、どう思いますか?
「制服はある方がよい」
「制服はない方がよい」
「制服はあるけど、着るかどうかは本人に任せればよい」

どんな意見でもよいのですが、ただなんとなく決めるのではなく、「なぜ自分はそう考えるのか?」を自問自答してみてください。それが、自分に引きつけて考える第一歩です。

「毎日服を選ぶのは面倒だから、制服はある方がよい」
「服を通して自分の個性を表現できるから、制服はない方がよい」
など、いろいろな考えが出てくると思います。
その後は、視点を増やして考えを深めていきましょう。自分と反対の意見の人はなぜそう考えるのか? なぜ学校は制服着用を規則にしているのか? などと考えを深めていけば、説得力のある理由が考えられるようになります。

このように、まずは自分に身近な、考えやすいテーマから考えてみることです。 普段はそんなこと気にも留めないから、意見を求められても「なんとなく」賛成や反対を決めてしまうかもしれませんが、なぜそう考えたのか? その意見に至った理由を自問自答することがポイントです。

【コツ2】身近でない(と思う)テーマに対しても、自分との接点を探してみる!

これまで、自分がかかわったこともないような大きなテーマって、少なからずありますよね。でも、そのテーマとよくよく向き合ってみると、接点はたくさんあるものです。

例えば、「地球温暖化」。
地球規模の問題なんて、「ひとごと」のように思うかもしれません。しかし、地球温暖化をもう少し細かく考えてみると、例えば、地球温暖化の「原因」には「二酸化炭素排出」という問題があり、「二酸化炭素排出」をさらに細かく考えてみると、工場などからの排出だけでなく家庭や自動車からの排出についても取り上げられています。この、家庭や自動車からの二酸化炭素排出は、自分との接点がありますよね。
つまり、「テーマを細分化して、自分との接点を積極的に探す」ことがポイントなのです。

テーマを細分化といっても、難しく考えすぎず、自分の体験や身近な人のちょっとしたひと言、テレビや雑誌、新聞で見聞きしたことなどから、自分とテーマとのかかわりがどこかにないかな? という観点で接点を探してみましょう。

【コツ3】
他人の意見を参考に、自分の意見とその理由を考えてみる!

コツ1とコツ2を駆使しても、「何度考えても、このテーマと自分との接点はない!」と思うテーマに出くわすことがあるかもしれません。

そんな時は、そのテーマに対する「他人の意見を参考にする」のも、自分に引きつけて考えるうえで有効です。これは、誰かの意見をうのみにして、それを自分の考えのようにするということではありません。「他人の意見に対する自分の意見を持つことから、自分に引きつけて考える」ということです。

そのテーマに対する誰かの意見に対して、自分は賛成か反対かなど、感じたままでよいので自分の意見を出してみましょう。その後は、コツ1と同じように「なぜ自分はそう考えたのか?」と自問自答することがポイントです。

自分に何度も問いかけるのは、初めはとても大変な作業ですが、その問いかけを経て出すことのできる「自分の考え」を表現する力は、小論文入試だけでなく、その先の大学や社会でも求められる大切な力となるので、今のうちから訓練を積んでいくことは必ず将来役に立ちますよ。

文/進研ゼミ高校講座 受験情報担当 伊藤

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