【2025年度大学入学共通テスト】数学の分析と対策ー2025年度の特徴から考える共通テストの傾向

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2025年1月18、19日に新課程となって初の「大学入学共通テスト」(以下、共通テスト)が実施されました。ここでは、今回の数学全体についての特徴を紹介します。
そこから考えられる共通テストの大きな傾向、そして対策を考えていきましょう。

この記事のポイント

新課程での変化と概況

「数学Ⅰ,数学A」は数学Aの選択問題がなくなり、全4大問必答となりました。
試験時間については変更なく70分でした。
大きな出題範囲は変化していませんが、新課程で追加となった「データの分析」の外れ値や仮説検定の考え方、「場合の数と確率」で1課程ぶりに復活した期待値からの出題も見られました。

旧課程「数学Ⅱ・数学B」は数学Cが追加され、「数学Ⅱ,数学B,数学C」と科目名が変更されました。それにともない試験時間は60分から10分増加して70分となりました。
必答問題は数学Ⅱから3大問、選択問題は数学B、数学Cの2大問ずつから3大問の選択となりました。数学Cは旧数学Bから移動した「ベクトル」と旧数学Ⅲから移動した「平面上の曲線と複素数平面」の選択で、今回「平面上の曲線と複素数平面」からは「複素数平面」のみの出題でした。

共通テストは全問マークシート方式で、数学は求めた答えに応じた符号や数字をマークシートから選ぶ形式や、選択肢から解答を選ぶ形式の出題です。
これまでの共通テストと同様に、通常の問題に加え、現実の事象や対話形式の問題も引き続き出ています。
試験時間が増えた科目、科目の並びの変更の影響で、数学はすべて2日目の午後に実施となりました。

  • ■「数学Ⅰ,数学A」は全大問必答になった
  • ■数学Cの追加により、大問数が変わり、試験時間が10分増加して70分になった

現実の事象を数学的な観点で考察する

2025年度の「数学Ⅰ、数学A」では、噴水の形状を題材にした「2次関数」の問題、ゲームの参加料の設定の妥当性を期待値で考察する「場合の数と確率」の問題が出ました。
また、「数学Ⅱ,数学B,数学C」の「指数関数・対数関数」では、水草が水面を覆う割合に関する問題が出ました。

内容だけ聞くと題材に関する特別な知識や難しい計算をこなす力が求められているように思われるかもしれません。
現実を数学化(モデル化)する際には、定義の説明が必要となるため、文章が長くなってしまいます。
しかし、数学化することは逆に、実際に考えやすい状態、つまり単純化していることになるので、問われている部分や与えられた図やグラフを先に確認してみると、類似した問題のイメージがわいてくることがあります。
求められる力は与えられた設定から必要な数値・情報を探し出し、解答する力であり、数学と言葉の行き来ができるかがカギになります。

このような現実の事象を数学的に考える問題は、共通テストで出題されることが多く、今後も同じ傾向が続くと予想されます。
なかなか普段の学習の中では練習しにくい部分かと思いますので、模擬試験や共通テスト対策の教材を使用して、同様の形式の問題で対策をするのが効果的です。

また、現実の事象の問題は具体的な数値のため、単純な四則演算でも小数や桁数が多いことで時間を取られることもあります。
普段から問題を解く際には立式だけで済まさず、最後まで計算することの積み重ねも大切です。

  • ■噴水の形状など、現実の事象が数学化された問題
  • ■現実の事象を扱う問題では必要な数値・情報を探し出し、解答する力が求められる

長文や対話形式から情報を読み取る

先述の現実の事象をテーマとした問題と並んで、共通テストならではの傾向として、長い問題文や登場人物同士の会話文が含まれる問題が挙げられます。

共通テストでは1つのテーマを深掘りしていく形式の問題も多く、その深掘りの方法が長文で説明されていたり、会話文で提示されていたりすることがあります。

先述の「数学Ⅰ、数学A」の第2問「2次関数」の噴水の形状を題材にした問題も、現実の事象に加え、会話をもとにさまざまな状況を考察しています。
「数学Ⅱ,数学B,数学C」の第1問「三角関数」では、前半は登場人物2人がサインに関する問題に対して考察を示して、誘導に従って解いていく問題でした。後半は前半のような誘導が一切なく、コサインの場合を考える問題になっており、試験時間が限られているため、前問の解法を活用しながら、新しい状況にも変化した部分に注意して適応する判断力が求められました。対話をもとに与えられた解法にそって考えていくことや、それをもとに異なった状況でも対応できる力を持っているかなど、普段から主体的な学びができているかが問われています。

この形式の問題は今後も出題が続くと予想されますので、現実の事象をテーマとした問題とあわせて、似た形式の問題演習をすることや、普段の学習の姿勢から意識することが効果的です。

  • ■長い問題文や会話文での出題
  • ■長文・会話文から必要な数値・情報、考え方を読み取り、解答する力が求められる

まとめ & 実践 TIPS

2025年度の数学の共通テストの特徴をまとめると、以下の3つが代表的なものといえます。

  • 1.新課程での出題範囲、試験時間の変化
  • 2.現実の事象を数学的な観点で考察する問題
  • 3.長文や対話形式から情報を読み取り解答する

現実の事象や対話形式の出題は、共通テストらしい問題としてよく取り上げられますが、数学ですので、論理的な部分も当然問われます。新課程となりましたが、出題傾向は大きく変わっていません。

共通テストはマーク式の試験ですが、普段の記述問題の解答をきちんと書く意識を疎かにしないようにしましょう。

形式に慣れることも大切ですが、まずは教科書の定義、基本的な定理公式の扱い方から始めてみましょう。

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