算数で計算問題は得意だが、応用問題に対応できない[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


【質問】

計算問題は早く、正答率も高いのですが、やはり問題を読んでいないことがあり、応用問題を苦手とします。たとえば「1日4ページ本を読みます。1週間では何ページ読みますか?」の問題で「1週間=7日」という気付きに時間がかかります。

相談者:小3女子(大ざっぱなタイプ)のお母さま



【回答】

「解き方ノート」を作り「単位はそろえる」とメモしておく


■応用問題とはどのようなものか?

それぞれの単元には、特有の公式や解き方があります。簡単な問題でしたら、それらをあてはめれば解けてしまいますが、応用問題ともなればそんなに単純ではありません。たとえば、いくつかの単元の公式や解き方を使わなければ解けない「複合問題」や、問題内の「条件整理」が難しくて解法の糸口さえ見えてこないものなどがあります。現在3年生ですから算数の基本を勉強しているところですが、これからどんどん難しくなると思います。応用問題を解くための姿勢をしっかり身に付けておくとよいでしょう。


■「1つの単元の公式や考え方では解けないかも?」の心がけ

3年生の段階ではまだピントこないと思いますが、いくつもの単元の公式や考え方を使って解いていく「複合問題」にはかなりやっかいなものもあります。たとえば、「速さ」の問題なのに「ツルカメ算」の「面積図」を使わなければ解きにくい問題などは、かなりの難問といってよいでしょう。問題の単元がわかったらその単元の公式や考え方だけで解けると思っているお子さまにとっては、なぜか解けないと苦しむ問題となります。

こうした「複合問題」は上位の学校に出題されることが多いので、そうした学校を志望する皆さんは問題慣れしておく必要があるでしょう。問題を解く時は、「1つの単元の公式や考え方では解けないかもしれない」という姿勢で問題に臨むとよいでしょう。


■最難関校の問題でも重要な「条件整理」

御三家などの最難関の学校では、「数の性質」「場合の数」「規則性」などが頻出です。これらは考えさせる問題であり、手を動かす問題です。そして、「条件整理」の出来・不出来が、正解に到達できるかどうかを決める問題でもあります。たとえば「規則性」の問題では、数字を書き出して隠された規則性を見いだそうとします。問題を見たらそれこそ反射的に、「次はどうなる」という疑問を持って書き出していくのです。「隠された規則性」という新しい条件を見つけるわけですが、このような「条件整理」をしっかりしないと解法の糸口が見つからないのです。難問になればなるほど、「条件整理」の重要性が顕著になってくるでしょう。


■少しひねった問題でも大切な「条件整理」

「条件整理」は難問だけではなく、少しひねった問題を解く時にも大切な手順になります。なぜなら「条件整理」とは、条件を整理して問題内容をはっきりさせることを目的に行う作業だからです。その手順をしっかりできるかどうかが、算数や数学の得意・不得意に関わってくるともいえるくらい大切なものなのです。たとえば、今回のご質問で「1週間=7日という気付きに時間がかかります」とありましたが、これは気付くかどうかの問題ではなくて、「単位をそろえる」という「条件整理」であり、問題を読んだ瞬間に頭の中で考える、あるいは問題文にメモするなどの「作業」として行うべき内容です。算数や数学では何かと何かを比べて答えを求めていく場合が多いですから、単位を同じにしなければ比べにくいのは当然です。
あるいは、図形問題の場合を考えてみましょう。図形問題は図を見て問題を解きますから、問題文内にある条件をすべて図にかき入れるという「条件整理」が必要です。問題文の中に隠れている条件もしっかり図にかき入れないと、解ける問題も解けなくなってしまうのです。「図形問題はすべての条件を図にかき入れて図で考える」という姿勢が必要なのです。
さて、このように重要な「条件整理」ですが、どうしたら身に付くのでしょうか。「条件整理」といっても特別なことではなく、その単元ごとにある解法のための準備です。ですから、解答の中で詳しく解説されているはずですが、それらを読み飛ばして気に留めていない場合が多いのです。こうした「解き方のコツ」ともいうべき整理の方法を忘れないためには、やるべき条件整理を見つけたら、「解き方ノート」などを作ってメモしておくとよいでしょう。たとえば今回の場合であれば、「単位はそろえる」とメモしておくのです。例題やその解き方と共に示しておけばさらにわかりやすいでしょう。そうしたメモの数がたまるのに比例して、お子さまの算数の成績もさらに伸びていくと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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