【銀座の老舗理容室店長に聞く1】資格取得の方法と、資格を取ってからの日々
最近は大学を卒業したあとも「手に職をつけたい」ということで理容や美容の専門学校に通い、会社員でも専門学校に通って職人の道に進む人が増えているようです。理容師や美容師は技術ももちろん必要ですが、人と話すコミュニケーション能力を必要とされる専門職。そこで、東京の銀座で100年続く老舗理容室の店長、佐々木岳史さんに理容室・美容室の仕事についてお話を伺いました。
専門学校に通い、国家試験を受ける
——理容師や美容師になるには、どういう条件が必要で、どんな試験を受けることになるんですか?
一応、中学校卒業が理容専門学校に入学できる最低条件です。専門学校だと、通信のコースもありますね。毎日行く普通科だと2年間で修了、通信だと3年間で、その代わり年間30日くらい通えばいいので、他の職業に就いた後でも資格取るためにどうにか休みを使って資格を取得する人もいます。美容の専門学校も同様です。
資格は国家試験で、何回でも受験できます。「筆記」と「実技」で分かれており、片方だけ落ちる人もいるんですが、そうすると1回だけ免除になり、次の受験では受かってない方だけを受けるという形になります。これも理容と美容で同じですね。
国家試験合格!まず最初はシャンプーの練習。そして日々勉強は続く…。
——資格を取ったあと、理容室や美容室に就職することになりますが、まずはどういった仕事からスタートするのでしょうか。
実際にお店に入って、現場で一番最初にやるのはシャンプーですね。職場のスタッフや店長を閉店後に洗ったりしました。日々練習です。店長から「ある程度出来るようになったね」とお墨付きをもらったら「じゃあ実際に現場でやってみよう」となります。そのとき、髪の毛の短いお客さんの方が洗いやすいので、短い人から洗います。それをクリアしたら、あとはその作業と並行して、薬液を混ぜてカラー液を作ったり、床に落ちた髪を掃いたり、シェービングカップを洗ったりという仕事を少しずつ覚えていきます。
理容師の場合は、その作業に加えて、お顔そりの練習をします。お顔そりというのは、理容師免許を持つ人が提供できる技術なんですよ。それから、カットの練習ですね。閉店後に常にしていますよ。たとえば、閉店後の美容室を外から眺めると、閉店後なのにお客さんや人形の髪を切っている様子を見かけたことはありませんか? あのシーン、実は訓練しているところなんですよ。
シャンプーにしてもカットにしても新しい技術が永久に出てくる世界なので、修行中もそうでしたが、店長になってからも講習会には週1回、行ったりしますね。そこで新しいパーマのやり方やカットの方法などを教わっています。身につけた新しい技術は帰ってからお客さまのカルテを見ながら「このお客さまに向いているかな」と考えて、仕事に役立てるように意識していますね。学校を卒業しても、修行中でも、店長になっても毎日が勉強です。