【銀座の老舗理容室店長に聞く4】技術より、コミュニケーションと新しいものを取り入れる姿勢が大事

最近は大学を卒業したあとも「手に職をつけたい」ということで理容や美容の専門学校に通い、会社員でも専門学校に通って職人の道に進む人が増えているようです。理容師や美容師は技術ももちろん必要ですが、人と話すコミュニケーション能力を必要とされる専門職。そこで、銀座で100年続く老舗理容室の店長、佐々木岳史さんに理容室・美容室の仕事についてお話を伺いました。


大学進学も考えていた高校時代

——佐々木店長は、どうして理容師になろうと思ったのですか?

 

祖父と祖母がお店をやっていたので、幼稚園くらいのときから意識していたと思います。かといってそのための勉強は特に意識せず、普通に中学・高校時代を過ごしていました。大学に進学することも少し考えていたくらいですので。なぜ大学進学を考えたかというと、それはあまりにまわりが大学に行くからです。ですが、何のために行くのか自分の中でじっくり考えていくと自分には必要ないという結論に至り、高校卒業後は理容専門学校に通いました。

 

ただ、大学に進学してからこの職業に就いても全然問題ないと思います。むしろ、今は大学を出てから理容・美容の専門学校に入り直す人も結構います。私たちの職業ってどういう人が来るかどんな職種や業界の人が来るかって、こちらでは選べません。いろんなお客さまが来るので、なんの知識であれコミュニケーションの道具になりますから。

 

 

「人柄とかおしゃべりはいくらやっても身につかない」

——佐々木店長が考えるコミュニケーション力について、詳しくお聞かせいただけますか?

 

理容業界には「技術は真面目にやっていれば身に付くが、人柄とかおしゃべりはいくらやっても身につかないから、別の努力も必要だ」という格言があるんですよ。そういう意味で美容師や理容師はむしろ大学を卒業していたり、会社員を経験していたり、いろんな経歴があるほうが向いているのかもしれません。逆にそちらのほうが将来的に伸びるかもしれません。遠回りしてしまうように思うかもしれませんが、長い理容師・美容師の人生から見ればたいしたことはないですよね。

 

 

コミュニケーション力はどの仕事でも大事なこと

——コミュニケーション力というのは、どんな仕事でも求められることだと思います。佐々木店長のご経験から、ここで培ったことが役に立ったということがありましたら、教えてください。

 

学校の勉強は、最低限は必要だと思います。ですが、学校において勉強よりも大事なことは友達や先生たちとのコミュニケーションですよね。そういう意味では、今振り返っても中学・高校の頃の経験ってものすごく大事だと思います。どんな職業においてもあの頃の経験は役に立つと思いますね。ですから、今の学生たちも1日1日を大切に過ごして欲しいです。必ず役に立ったと思える日が来ると思いますから。

 

 

「会話」が一番大事だから常に新しいものを取り入れる

——佐々木店長は新しいものも積極的に取り入れていると伺っておりますが、デジタル対応などもされているんでしょうか?

 

理容室というと古いイメージがあるかもしれませんが、手前味噌ですが銀座界隈でiPadなどのデジタルガジェットを導入したのは多分一番早いと思います。手書きだったカルテを2007年くらいからデジカメで写真を撮ってノートパソコンに入れてお客さまに見せていました。今ではノートパソコンではなくiPadでお客さまに見せています。わりと好評で、会話も弾みますね。近年ではそういったことも普通になりましたけど、以前は珍しかったですから。この店は銀座に移って100年経つので老舗の部類に入ると思うのですが、だからこそ常に新しいモノを意識して取り入れています。お客さまとの会話のために新聞も読んでいますが、私はデジタルで2誌読んでいます。そこでもiPadが役に立っていますね(笑)。

 

 


取材:Hair Salon Sasaki

http://www.hairsalon-sasaki.jp/

 

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