あと1年! 何から始める? [中学受験]

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。
この春6年生に進級する新6年生向けに、この1年の好スタートをきるために取り組んでおきたいことについて取り上げます。



■志望校との距離をどう縮めるか

この時期、お子さまに、「受験まであと1年」という自覚を持ってほしい! と感じている保護者のかたは多いのではないかと思います。でも、子どもたちは、保護者のかたのそんな気持ちになかなか乗ってきてはくれません。では、どんな伝え方をすれば、お子さまに自覚ややる気が生まれるでしょうか。

まず、保護者のかたが、お子さまの現在の実力と、志望校との距離を客観的につかんでおくことが大切です。模試を受けた場合、どの教科であと何点くらい上げれば志望校に届くか、大まかに把握しておきましょう。そこで、その距離に保護者のかた自身がめげてしまったり、あれもできない、これもできない……と焦ったりするのは逆効果です。

お子さまの苦手教科の「基礎・基本」に注目しましょう。
「応用問題ができないんです」とおっしゃるかたが多いのですが、多くの応用問題は、基本問題のいくつかの要素が組み合わさってできています。ですから、応用ができない場合、基礎・基本にまだ弱さがあるといえるのです。



■第一歩は「手の動かし方」を身に付けること

たとえば算数が苦手な場合、まずはまちがえない計算のしかたなど、最も初歩的なところから始めるのが大切です。計算は、なんとなく暗算でやるとまちがいやすいので、縦書きの筆算にして丁寧に解く習慣を付けましょう。文章問題は、いわゆる「一行問題」といわれるやさしいものからトレーニングし、線分図、面積図など、図にして考える方法を、図形問題なら補助線を引く位置など、オーソドックスな問題の解き方を身に付けていってください。
つまり、目の前の課題に対して、手を動かしながら考える習慣を付けるということです。手が動く、というのはとても大切なこと。難問の真っ白な解答欄を前に、頭の中も真っ白、というのでは、その勉強時間も無駄になってしまいます。

国語の場合は、「接続語」「指示語」などに注目して、文章を正確に読み取る訓練をすること。そして、「文章の内容を踏まえて自分の考えを述べる」といった記述問題の場合も、自分なりに考える手がかりをつかみ、言葉にしてみる、書いてみる。その第一歩がなにより大切です。



■難関校ほど解答より「プロセス」を重視する

なお、実際に試験問題を見ると、難関校ほど「解答欄が大きい」問題が多い傾向があります。これは、「答えが合っているか」よりも、解答するまでのプロセスを重視しているためです。どの教科でもそうですが、特に算数などが顕著ですね。難関校と呼ばれる学校なら、たとえ答えがまちがっていても、きちんと途中式などを見て、考え方が合っていれば部分点をくれるところがほとんどです。

解答欄の大きな問題は、一般的に配点も高く、白紙のまま投げ出してしまうのは、宝の山をみすみす見逃すのと同じで実にもったいない。また、長い目で見ても、中学、高校、大学と進むにつれ、すべての学問において、「正解か不正解か」よりも、考え方の筋道を立てるプロセスのほうが大切になってきます。まちがえてもいいから、手をたくさん動かして、大きな解答欄をどんどん埋めてみる。その訓練は、今後決してむだにはなりません。



■問題集・参考書は、問題・解説のステップが小刻みなものを

苦手教科を前にすると、誰でもまず拒否反応が起き、第一歩を踏み出すまでが大変なものです。たとえば塾でやっている問題が難しすぎる場合は、もっとやさしい問題が載っている問題集を用意して、解けるものからゆっくり取り組むこと。わかっていない単元がある場合は、そこに戻ることが必要です。

また、問題集や参考書は、考え方のステップが細かく、丁寧に示されたものを選びましょう。「わかっているのが当然」と、考え方の細かなプロセスを飛ばした解説では、苦手な子はついていけません。階段の一段一段が大きすぎる場合は、そこにはしごをかけてあげる必要があるのです。

くり返しになりますが、「応用ができないから」と難問に取り組ませるのは逆効果です。やさしい問題で「手を動かす」習慣を付けてあげてください。それが今後、大きな力になります。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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