見直しをするように言っているのですが、ちゃんと見直しができていない[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小3女子(性格:大ざっぱ)のお母さま
質問
国語は問題の読み間違いが多く、ぜんぜん違う解答の仕方をすることがあります。答えが違うと言うと気づきますが……。見直しはするように言いますが、ちゃんと見直されていないようです。
小泉先生のアドバイス
「問い」と「答案」の中心部分だけをピックアップして突き合わせると、問いに答えているかどうかがすぐにわかります。
「ちゃんと見直されていない」ということですが、国語で見直しがきちんとできている子どもはあまり多くないようです。算数の「検算」にあたる言葉が国語にはないと思いますが、国語には見直す習慣が科目としてないのかもしれません。おそらく、「計算間違い」というようなことが国語にはないため、読み間違いやケアレスミスをするということを最初から考えていないのでしょう。見直しのためのやり方も、あまり指導されていないように思えます。しかし、現実には「見直し」をすれば点数がぐんと伸びるケースが多々あります。
たとえば、わたしの国語塾で記述問題の演習をする時のことを考えてみましょう。問題文の読み方や記述問題の答案の書き方を習うと、初めはぜんぜん書けなかった生徒でも、徐々に書けるようになっていきます。書けるようにはなるのですが、もちろんまだまだ完全ではありません。減点の対象となるような書き方をしてしまうことが多く、それらを演習によって修正していくことで、徐々に「合格点の答案」に近づけていくのです。
その中で、かなり多いのが「問いに答えていない答案」です。しっかり問題文や問いを読んで答案を書いているはずですから、「問いに答えていない」なんていうことがそんなに多いはずはないのですが、実際には実に多いのです。おそらく、問題文を読み、問いを読んで頭の中で答えている時は正しかったとしても、それを答案として解答欄に文字で表しているうちに、だんだんずれてきて、最後には怪しげな答案になってしまうのでしょう。
このような失敗を防ぐには、見直しが効果的です。方法は、答案を仕上げたらもう一度問いを読み直します。特に、問いの中心部分である、たとえば「○○がそのようにふるまっているのはなぜですか」を読みなおします。そして、今度は答案の中心部分である、たとえば「くやしかった(から)。」と対応させます。長い答案を頭から読んでいくと、何を言いたかったのかわからなくなってしまうことがありますが、このように「問い」と「答案」の中心部分だけをピックアップして突き合わせると、問いに答えているかどうかがすぐにわかります。そして、しっかりと問いに答えていると確認できたら、今度は答案を最初から読んでみて、それらが答えの中心部分や文末に向かって、ねじれることなくすっと意味が通っていることを確認します。この間、せいぜい20~30秒で終わるでしょう。それほど時間をかけずに、自分の答案がしっかり書けているかどうかを確かめることができると思います。
さらに、見直しは抜き出し問題や穴埋め問題でも抜群の効果を発揮します。それは、抜き出した言葉や穴埋めすべき言葉を、それぞれの穴に入れて、前後の文とともに続けて読んでみるという方法です。もし間違った言葉を選んでしまっていたら、おそらく意味がぴったりつながらず、違和感が残ると思います。実際にやってみればわかりますが、この見直し作業はせいぜい10秒で済みます。また、この方法は、脱落問題にも効果的です。脱落文を答えと思える場所に戻し、前後の文とともにつなげて読んで違和感がないことを確かめることで、正解か不正解かをかなりの確率で確認することができると思います。
とは言っても、見直しは確かに時間がかかります。それぞれにかかる時間は10秒~30秒ですが、それが集まると、たとえば全部で10問あるとしたら100~300秒かかる計算になります。「答案を仕上げるだけでも時間が足りない」という子どもさんには、なかなか絞り出しにくい時間ではあるでしょう。でも、もう少し速く問題文を読む練習をするとか、記述問題で「書いたり消したり」といった無駄な時間をなくすなどしてぜひ見直しの時間を作ってください。見直しをすることは、得点を高めに安定させることに確実につながると思います。