設問を最後まできちんと読まないで、思い込みで解いてしまいます[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小3男子のお母さま


質問

国語は設問を最後まできちんと読まないで、思い込みで解いてしまいます。だから、引っ掛け問題に引っ掛けられてしまいます。見直しても、≪合っている≫という先入感があるので、見直しになりません。算数も国語と同じく、最後まで問題を読まないのでまちがえます。たとえば問(1)が≪速い順に並べる≫問題だと、問(2)が≪遅い順≫でも≪速い順≫で解答してしまいます。


小泉先生のアドバイス

まずは、ミスして失った得点がいかに大きかったかを自覚させる。

ケアレスミスを繰り返さないためには、まずは、ミスして失った得点がいかに大きかったかを自覚させることです。ミスしたことを単に責めても感情的になって、あまり良い結果は出ないでしょう。それよりも、もしケアレスミスをしなければ、得点がどれだけになったか、その結果偏差値がどのくらい伸びたかを一緒に計算してみるのです。模擬試験などには、得点と偏差値の対比表があると思いますので、それを使えば簡単にわかります。
生徒は得点、特に偏差値には敏感ですから、自分が失ったものの大きさを自覚できれば、「失敗した!」という気持ちになるでしょう。そして、本当に残念と思える気持ちを持つことが、次のミスをより少なくするのです。いくら間違えても気にしないのであれば、ミスはなかなか減らないでしょう。

ただし、ケアレスミスを少なくする方法を教えなければ、気持ちがあっても効果は少ないでしょう。ミスを少なくするには、「事前に確認する方法」と「事後に確認する方法」の二通りを行うことです。

まず「事前確認」とは、大切な箇所に線を引いて、そこを注意する習慣をつけるような方法です。たとえば問題文だけではなく、問いにも線を引きながら読んでいくなどが効果的でしょう。算数なら、求めるもの、条件、答えの単位などに線を引きます。図ではメートルで書いてあるのに、答えはセンチメートルで出さなければならない問題もあります。この場合は「何センチメートルになりますか」の箇所に線を引いて、ミスをしないように注意するのです。
また、国語の選択肢の設問では、選ぶのは「適当なもの」なのか「ふさわしくないもの」なのかに注意すべく、それらの箇所にも線を引きます。大切な箇所に線を引いて読むことは、最後まできっちり読むことにもつながります。

「事後確認」とは、得た答えが正しいどうかのチェックです。国語の穴うめ問題なら、正解であろうと思われるものを穴に入れ、前後の文と共に続けて読んでみます。違和感なくスッと読めれば、正解である可能性は高くなります。抜き出し問題では、抜き出したものと本文を比べて、一字ずつ正しいかをチェックすると良いでしょう。一文字抜かしたり、本文ではひらがななのに、抜き出したものは漢字で書いたりなどのミスをする生徒さんも少なくありません。
また算数の場合は、出てきた答えを条件に入れて問題が成り立つかどうか確認したほうが、最初から計算し直すよりも速くて正確な場合があります。たとえば、「現在、子どもは12歳、父は46歳です。父の年れいが子どもの年れいの3倍になるのは、何年後ですか」という問題で、計算で5年後という答えが出てきたら、試しに5年後の年齢を計算します。すると、子ども17歳、父が51歳だから、3倍になっていることが確認でき、答えが正しいことが確かめられます。

最後に、お子さま特有のミスするポイントを指摘してあげると良いでしょう。たとえば、分数で通分する時なぜか必ず計算ミスをするとか、出てきた答えを解答欄に書き写すとき、よく間違えるなどのミスです。注意されないと気付かないミスも、指摘し、ケアレスミスの一覧表にして机の前にでも貼っておくと気を付けるようになります。

このようにミスしたくない気持ちを持たせ、ミスを防ぐ方法を一緒に考え、さらに頻繁にミスする箇所を指摘することで、ミスは少なくなると思います。それに伴い成績も向上しますから、もっと注意しようという良い展開につながるでしょう。「面倒くさい」という気持ちから、「少しでもミスをしたくない」という方向に向けることが第一歩です。この一歩が、実は一番難しいと思いますが、高学年になる前にケアレスミスのクセを直しておくことは大切だと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

子育て・教育Q&A