問題文を読むのが遅いので、問題を解く時間がなくなってしまいます[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。



【質問】

説明文が苦手です。いつも問題文を読むのが遅いので、問題を解く時間がなくなってしまいます。また、選択問題も苦手なようで、引っかけ問題に引っかかります。語彙(ごい)力もあまりないので、理解できていないのかもしれません。

相談者・小6男子(性格:強気なタイプ)のお母さま


【回答】

語彙力を強化し、文と文の関係を意識して読む練習をする。


■語彙不足のチェック法

「問題を解く時間がなくなって」や「引っかけ問題に引っかかって」などは、語彙不足や問題文を速く、正確に読めていないことなどに原因があります。問題文を読むのが遅いので、問題を慌てて解いてまちがえてしまうのです。あるいは、「語彙力もあまりない」ために、問題文を正確に読めていないのかもしれません。

語彙不足は、お子さまに標準的な入試問題を音読させ、難しそうな熟語や慣用句の意味をいくつか答えさせてみるとすぐにわかります。標準的な長さの説明文はB4で1~1.5ページ程度のものが多いと思いますが、その文章の中で4つも5つも意味がわからない言葉があると、文章全体を理解するのは難しくなります。特に、その文章を理解するために知らなければならないキーワード(大切な言葉)の意味がわからないと本当に困るでしょう。語彙不足の場合は、今からでもよいので、単語集などを利用して言葉の知識を増やしましょう。

■文と文の関係を理解できていないのではないか?

語彙力の他にも、文章の読解ためには大切な要素があります。たとえば、物語文を読む時には登場人物や場面展開、そして心情の変化を意識することが大切です。それでは、説明文や論説文などの説明的文章を読む時はどうでしょうか?説明的文章の場合は、筆者の説明や主張の展開に沿って読んでいくことが重要ですから、文と文(さらには段落と段落)の関係を意識することだと思います。文と文の関係を意識せずに文章を読んでいくと、筆者の「イイタイコト」が何だったかがぼやけてきます。次から次へと出てくる文がいかにも唐突に感じ、文字を目で追っているだけで内容が頭に入ってこなくなります。また、次にどのような内容が展開していくか想像できませんから、読むスピードが遅くなります。このように考えれば、文と文などの関係を意識することがいかに重要かわかると思います。

■文と文の関係の種類

文と文(あるいは段落と段落)の関係としては、以下が考えられます。


(1)イコールの関係(「AたとえばB」「AつまりB」など)
(2)因果関係(「AだからB」「AなぜならB」など)
(3)補足の関係(「AただしB」「AさらにB」など)
(4)対比の関係(「A一方B」など)
(5)無関係(「話題の転換」など)


たとえば「雨が降ってきた。だから、持ってきたカサをさした。」とあれば、「カサをさした」と「雨が降ってきた」の因果関係を意識して理解することが重要です。また、「お茶は、ビタミンCが豊富でしかもノンカロリーです。一方、100%果汁のオレンジジュースは、ビタミンCは豊富ですがカロリーがあります。」とあれば、「お茶」と「ジュース」を対比していることを意識し、恐らく、ノンカロリーの「お茶」の有用性を説明するであろうと想像できます。このように次の展開を想像する力は、文章を速く、的確に読むためには必要な力であり、文と文の関係、あるいは、接続語を意識することで初めて付いてくる力だと思います。

■短文から練習を

説明文を速く、正確に読むためには、このように文と文や段落と段落の関係を意識することが大切です。しかし、説明文を読み慣れていないと、すぐにはうまくできないかもしれません。長い文章ではなかなかうまくいかない場合は、ごく短い文章(4~5行の形式段落が2つ程度の文章)から練習し始めるとよいでしょう。

やり方としては、最初の段落をじっくり、文と文の関係を考えながら読みます。その中で、中心文と思えるものには線をひいていきましょう。しっかり読めたら、次の段落も同じように読み、さらに、これら2つの段落の関係も考えていきます。最初のうちはこの程度の長さの文章で練習していき、慣れてきたら徐々に長い文章を読んでいきましょう。説明文や論説文は、普段の読書でもあまりなじみがないと思いますので、短い文章を使って精読する方法は効果的だと思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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