子どもと過ごす夏 「イレギュラー」に強い人間に[高校受験]

■「イレギュラー」に強い人間に

7月のある日曜日、「静岡県中部地区私立中学校フェア」というものに招かれ、講演しました。演題は、「先行き不透明な社会とこれからの子育て」というものです。講演では、「社会はどう変わる?」「仕事はどう変わる?」「プライベートはどう変わる?」といったことから、「これからの子育て」についてまでいろいろお話ししました。
その中でも、「これからの子育て」では、「イレギュラーに強い人間に育ててほしい」という趣旨のことをお話ししました。

■65%が、現在ない職業に就く

「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就く」--アメリカのデューク大学のキャシー・デビッドソン教授が、ニューヨーク・タイムズのインタビューを受けた時に答えた予測です。
2011年に小学校に入学した子どもが大学卒業となると15年後の2026年で……どうでしょう。日本もまったく同じような様子ではないでしょうか。今、新聞等にごく普通に出てくる、たとえばスマホのアプリ開発者なども、15年前はなかった仕事でしょうか。仕事だけではありません。昨今、話題になっている企業の多くも、15年前にはなじみがなかったように思います。

保護者のかたは、お子さまが将来安全で安定した生活が送れるよう、ついレールを敷きたくなりかもしれませんが、上記のような社会であれば、意味がないような感じがします。確かに、公務員、教員、警察官、消防官といった公務員、医師、薬剤師、弁護士、税理士といった資格系は、変わらず職業として存続しているかもしれません。しかし、一般的な企業は大きく変わっているのではないでしょうか。
ある日突然、社長が外国人になったり、他業種から来たり、担当している事業が外国の企業に売却されたり、他社との合弁になったり……といったことは今でも頻繁に起こっています。
お勤めのかたの場合、保護者のかたの世代は「入った会社で定年まで」、というかたがまだ多数派かもしれません。が、お子さまの時代は間違いなく職場が変わると思うのです。終点まで行く真っすぐなレールはもはや存在せず、他のレールとつながったり、交差したり、途中で切断されたり……と、平たんではないでしょう。

ですから、お子さまに安全で、清潔で、心地よい、恵まれた環境を用意しようとするのではなく、嫌いなものでも食べさせる、力仕事をどんどんさせる、知らない大人の世界にも参加させる……といったように、肉体的にも精神的にもたくましくさせることを意識的にやっていただきたいと思うのです。
順調にいかない、つまずいた、ぜひそんな「イレギュラー」なケースに強い人間に育ててください。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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