【回答:森上教育研究所】家庭学習・家庭内コミュニケーション<その4>
「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。
なかなか暗記ができません
読書や国語がニガテです。どうしたら、本を読むようになるのでしょうか?
なかなか暗記ができません
Q | 5年生の息子は暗記ものがなかなか覚えられません。社会の歴史や地理がとくに苦手です。覚えたつもりでも、すぐに忘れてしまいます。どうしたら、覚えることが苦にならず勉強できるのか、コツがあったらぜひ知りたいです。 |
A | 暗記が得意なお子さんも苦手なお子さんもいます。暗記が得意なお子さんは、画像でとらえて、そのまま記憶してしまう能力があるようです。苦手なお子さんは、それができないので、何度も繰り返すことで記憶するわけです。画像で覚えると記憶しやすいようですが、それですべてが解消したということでもないようです。 確かに、暗記が苦手なお子さんは暗記科目では不利ですが、暗記が苦手なお子さんでもちゃんと志望校に合格しています。ここで大事なことは、親は、暗記が苦手であることで子どもを委縮させないようにすることです。 「自分は記憶力が弱いのだから、人よりも何倍も努力して覚えればいい」ということを本人が自覚し、親も子どもの個性として認めてあげれば、子どもは前向きに勉強できるので、覚えることが苦にならないでしょう。 また、暗記が苦手なお子さんは、画像でとらえるような丸暗記はできないので、論理や物事の流れで覚えるようにします。論理や物事の流れで捉えることができれば、論理的な思考ができるようになり、記述問題が得意になります。記述問題は得点も高く、出題が増えている現状を考えると「弱み」が「強み」に変わります。暗記問題が苦手でも記述問題は得意になることで子どもは自信をもって勉強に打ち込めると思います。 |
読書や国語がニガテです。どうしたら、本を読むようになるのでしょうか?
Q | 小学5年生の息子は、読書がきらいで国語が苦手です。作文を書くのも苦痛なようです。どうしたら、本に興味をもつようになり、文章を読むことに抵抗がなくなるのでしょうか。何か秘けつがあれば、知りたいです。 |
A | あるご家庭で、読書が苦手な兄がいました。中学受験に読書が必要だと大量の本を親が買い与え、読書を日課にさせていました。読書がきらいな兄は、ますます読書が苦手になりましたが、読み散らかした本を受験生になっていなかった弟が読むようになって、弟は、読書が大好きになったそうです。その後、兄も弟も第一志望の私立中高一貫校に進学し、兄は理系、弟は文系の難関大学に合格したそうです。 読書がきらいな子どもを、読書が大好きな子どもにすることは難しいかもしれませんが、苦手を克服することはできると思います。そのためには (1) まず、読書が苦手な子どもは、本は自分の生活の中で違和感のあるものと思っているので、生活の中に自然にあるものにします。本を勉強する部屋の中だけでなく、キッチンやリビングなどの子どもが出入りするスペースにも置いて、自然に本を手にとって読めるようにしておきましょう。 (2) 次に「読書をしなければ知識が不足しているので、国語の試験問題は読めても意味がわからないので問題は解けない」といったように、読書の必要性を子どもが納得するように話してください。子どもが読書を苦手としていることを認めてあげ、苦手なりに本を速く読めるように、また内容を的確につかめるようになればよいことを話してあげてください。そのためには、本人が読みやすい本・子どもの興味のある本から始めると良いでしょう。 |