図形問題が苦手です。図形の性質などがうまく使えません[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小4男子(性格:大ざっぱ・わんぱくなタイプ)のお母さま
質問
図形問題が苦手です。長方形や二等辺三角形など、辺の長さが同じになっている部分はわかっているのに、問題になるとそれがうまく応用できません。計算問題は得意で、まちがいも少ないほうだと思います。
小泉先生のアドバイス
条件を図形にかき入れるなど、手を使って考える。
●4年生で学ぶ図形は図形の基礎
図形の学習は、「図形の性質」から始まります。学年が上がるに従って、「相似」「合同」など比を使う問題を扱うようになり、さらには立体図形や展開図など空間把握能力も問われるようになります。また、図形上の点や図形自体が移動する問題などもあります。4年生のお子さまは、恐らく図形の基礎である「図形の性質」を学んでいるところですから、ここで図形を苦手にしてしまうとあとでたいへん苦労されると思います。ここはがんばって、苦手意識を払しょくしてしまうことが必要でしょう。
●条件を図に集める
図形問題に取り組む時に大切なことは、問題にある条件を図に集める、すなわち図にかき入れることです。これはごく当たり前のことですが、案外実行していない場合が少なくありません。たとえば、問題文として「図1で、点Dは辺BCを二等分した点、点Eは辺ACを三等分した点の1つです。」とあり、図1が与えられていたとします。そんな時は、すぐに問題文にあった条件を図にかき入れて図2のようにします。そして、図を見て解法の糸口を見つけ出せるようにするのです。たとえば図2では、三角形CEDと三角形BEDが同じ面積(底辺と高さが等しいので)であることがすぐにわかります。図にかき入れなかったために、見えるものが見えなくなってしまうということが少なくないのです。
●「同じところ」と「特別なところ」に注目
解法の糸口を見つけるためには、「辺が同じ」「角が同じ」などの「同じところ」や「90°」「平行」などの「特別なところ」に注目するとよい場合が多いようです。たとえば、「辺が同じ」なら「二等辺三角形(あるいは正三角形)」ですから、底角は等しくなります。また、「直角」であれば、その三角形は直角三角形ですから、直角三角形の性質を使って、問題を解くことができるかもしれません。このように、「同じところ」「特別なところ」は問題を解くカギになる場合が多く、新たな条件がさらに見つかることも少なくありません。そして新しい条件が見つかったら、それも図にかき入れていきましょう。答えに一歩近付いたことになると思います。
●人は身体を使って考える
このように、条件を図にかき入れることは、解法の糸口を見つけやすくすることにつながります。しかし、もう1つ大切な役割があります。それは、手を使うことで、思考力を高めることができるのです。一般的に、「考える」ためには頭を使うだけではなく、体(手、足、目、口など)を使うことが重要だといわれています。たとえば、私たちは、散歩しながら考えます(足を使う)。あるいは、人と話しながら考えます(口と耳を使う)。算数の問題を解く時は、歩きながら、あるいは人と相談しながら解くわけにはいかないので、手を使い、それを目で見ながら考えを深めるのです。ですから、手を動かさずに問題文や図形をじっと見ているだけのお子さんは、その能力を十分に発揮できていないということがいえると思います。とてももったいないことですから、すぐに鉛筆を持ち、手を使いながら問題を解くようにしましょう。