幼児期は、けんかをすることで社会性を身に付ける!? その時、保護者は……
この春から保育園、幼稚園に子どもを通わせる、保護者も多いだろう。集団の中での活動が増えると、子ども同士のけんかが起こることも増え、「どのように対処したらよいかわからない」という悩みを耳にする。この時期の子どもの遊びをどのように見守ればよいのか、幼児教育の専門家、東京学芸大学の岩立京子教授に教えてもらった。
自我が確立される3歳くらいは、遊びにおいても自分なりのやり方が出てくるようになり、子ども同士で遊ぶのが楽しくなってくる時期です。最初のうちは、「並行遊び」といって、友達と一緒にいてもそれぞれが独立して遊んでいますが、そのうち、ままごとや人形遊びなども楽しめるようになります。しかし、まだ、相手の気持ちを正しく理解するのが難しく、けんかやいざこざもよく起こります。
保護者としては「みんなと仲よく遊んでほしいから、できるだけけんかは避けたい」と考えることでしょう。しかし、幼児期には、友達と仲よく遊ぶだけではなく、けんかやいざこざも貴重な体験となります。けんかを通して、自分の主張をぶつけ合い、お互いの気持ちに折り合いをつけ、仲直りすることを学びます。その中で、社会性を身につけていくのです。
「けんかはしたけど、○○ちゃんと遊ぶのは楽しい」と思える精神的回復力を育てることが、成長するうえでとても重要です。成長する過程において挫折や葛藤はつきものです。それを乗り越えるための土台を、幼児期のこの時期にしっかり築いておくことが大切です。
けんかが始まったら危険がないように保護者が見守ってあげましょう。自分たちで解決できない時は気持ちを聞いたり、思いを代弁したりするなど援助するとよいですね。