問題の内容を、正確に把握できていないことが多いです[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小6男子(性格:大ざっぱなタイプ)のお母さま


質問

問題の内容を、正確に把握できていないことが多いです。具体的には、本文から抜き出すところを自分の言葉で解答したり、理由を二つ挙げるべきところを一つしか書いていなかったりなどします。


小泉先生のアドバイス

復習を通して、ミスを少なくするにはどうしたらよいかを一つひとつ学んでいく。

●問いにも線をひきながら読む
問いの条件をよく読まずに答えるお子さまは案外多いようです。代表的なのが、“抜き出し”なのに本文の内容を書き換えてしまっている答案。条件をまったく無視している場合と、一部書き直している(たとえば、ひらがなのところを漢字に直しているなど)場合があります。前者は、抜き出しであることを読み飛ばしたために起こったまちがいでしょう。

このようなミスが多いお子さんは、問いにも線をひきながら問題を解いていくとよいでしょう。線をひくべきところは、「字数制限」「抜き出し」あるいは「自分の言葉で書く」などの条件の部分です。また、選択肢問題の場合は、「いくつ選ぶのか?」「同じものを使ってよいのか?」あるいは「選ぶのは正しいものか? まちがっているものか?」などでしょう。これらは本当にまちがえやすいところです。痛いケアレスミスになりますから、絶対くり返さないようにしましょう。

●記述問題の内容は字数で決まる
「理由を二つ挙げるべきところを一つしか書いていない」とありますが、これは恐らく記述問題のことでしょう。このようなことを防ぐために注意すべきポイントは、まず、記述の内容は字数によって決まるということを意識することです。記述問題では、字数制限がある場合が少なくありません。通常は20~35字程度で、少し多くなると50~60字くらいでしょうか。そして、さらに長文記述ともなると100字~200字にもなります。

記述で書くべき内容は大きく分けて、「問われていること」と「その理由」です。たとえば「どんな気持ちですか」という問いに対して、「お母さんに叱られて腹立たしい気持ち」という答案があったとします。ここでは、「問われていること(気持ち)」は「腹立たしい」であり、「その(気持ちになった)理由」は「お母さんに叱られた」ためということになります。このような単純な答案は、だいたい30字前後でおさまります。しかし、指定字数が50字、60字と多くなっている問題では、問われていることやその理由が一つとは限らないと考えてみるべきでしょう。たとえば、「腹立たしかった」のは「叱られた」だけではなく、「妹には何も文句を言わないこと」も理由として挙げる必要があったという具合です。

記述問題で指定字数が多くなると、やたら詳しく書くとか、同じようなことをくり返して字数を増やそうとするお子さんがいます。しかし、まずは、問われていることや理由が実は複数なのではないのかと考えてみるべきでしょう。そちらのほうが正解である場合が多いようです。

●問題文中の接続語にも注意
書くべき内容を見落とさないようにするには、問題文中における文や段落のつながり方に注意することも大切です。特に、つながり方を示す接続語は頼れる指針になると思います。たとえば、本文中に「AまたB」とあったとします。この場合、Aが書くべき内容であれば、「また」は並列の接続語ですから、Bも書くべき内容になります。また、「さらに」「しかも」などの添加の接続語も、続く内容を書かなくてはいけない場合が少なくないので、見落とさないように注意すべき接続語といえるでしょう。このように、接続語に注目すると、文章のつながり方がはっきりわかるので、書くべき内容を見落とすことが少なくなります。

●復習でミスを少なくする
ミスが起こりがちなところとその対処法についていくつか説明しましたが、他にもいろいろあると思います。それらを防ぐためには、“指差し点検”ではありませんが、線をひくなどの動作によって注意を喚起することが有効です。また、「接続語に注意する」など、注目すべき点を決めておくことも大切でしょう。そして、このようにミスが起こりがちな箇所を見つけ、それを防ぐための手法を編み出すためには、復習が非常に重要です。まちがえて点数を失ったことを悔しがるだけではなく、次にミスをしないためにはどうしたらよいかを、復習を通して一つひとつ学んでいってください。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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