自宅では○になるのに、塾やテストだと×ばかりです[中学受験合格言コラム]

自宅では○になるのに、塾やテストだと×ばかりです

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


※小泉さんへのご質問は、不定期にBenesse教育情報サイトメンバー向けのメールマガジン「教育情報サイト通信」で募集をいたします(随時の受付は行っておりません)。


質問者

相談者:小5女子(性格:大ざっぱ・感情的なタイプ)のお母さま


質問

自宅学習では○になるのに、塾やテストだと×ばかりです。先生は家では答えを見てやっているのではとおっしゃいますが、見ていないと本人は言います。きちんと理解させるにはどうしたらいいのでしょうか。


小泉先生のアドバイス

問題量をこなすと共に、1問1問に集中するという2面からの学習が効果的。

家では○なのに、塾やテストだと×ばかり。つい、答えを見てやっているのではないかと思いがちですが、必ずしもそうとは限りません。原因はいくつか考えられますが、一つには精神的な要因からきている可能性があります。たとえば、家では普通に解ける問題でも、他の生徒がいる環境では、過度に緊張してしまって頭が真っ白になってしまう、などです。本番の試験は自宅で受験するわけではありませんから、他の場所でも実力が出せるように練習しなければなりませんが、メンタルコントロールが上手にできないお子さまは、段階を踏んでの訓練が必要になります。

まず、塾やテストで×だった問題を、解答・解説を見ないで、自宅で解き直しさせてみましょう。じっくり考えればできる問題があれば、まずは「家では答えを見てやった」という疑いを晴らすことができます。さらに重要なのは、試験場であんなに難しく感じた問題が、案外簡単に解けることを本人に実感してもらえることです。この「自分でも解ける!」という自信はとても大切で、さらに難しい問題に挑戦するための原動力にもなります。
そして、どうしても解けない問題は、解答・解説を熟読して、解き方を理解させましょう。1週間後にもう1度その問題にあたらせてみて、それでスラスラと解けるようであれば、解法が身に付いたと考えてよいでしょう。このような復習をくり返していけば、単元理解に関しては問題なく進めると思います。

さて、試験で集中できるようになるには、やはり自信を付けさせることが重要です。そのためには、自宅での問題演習量を増やすことが必要だと思います。算数や数学は、こなした問題数と成績の伸びが比例関係にあるといわれます。つまり、問題量をこなせばこなすほど、成績が伸びていくということです。もちろん、ただ問題を解いていけばよいというわけではありません。

たとえば、得意な単元や、すでに到達したレベルの問題ばかり解いていても、学力は上がりません。新しい単元や苦手な単元の問題、また、得意な単元であれば実力よりもレベルの少し高い問題に挑戦していくという姿勢が必要です。このような学習を重ねていくことで、塾やテストで問題を解く時も、「私なら解ける」という自信も持てるようになるでしょう。

それからもう一つ。ご自宅で問題を解いている時ですが、集中力が足りない可能性はないでしょうか? テレビや音楽を見たり聴いたりということはないかもしれませんが、お茶などを飲みながらのんびりと問題を解いている可能性はありませんか? そのようにのんびり勉強していると、効率が悪いこともありますが、何よりも、集中するということに慣れることができません。

1問1問集中して、たとえば10分考えて解けなければ解答・解説を見て理解し、できなかった問題として、他日解き直す問題に仕分けするような厳しさが大切です。このように時間を決めて解くことで、テストと同じように緊張感を高め、効率的な学習をすることが可能になります。

お子さまは感情の起伏が激しい可能性があります。もしそうであれば、メンタル面でのコントロールをしっかりできるようになる必要があります。それには、くり返しになりますが、問題数を解くことで「慣れる」ことと、さらに1問1問に集中できるように「時間を制限する」という2面からのトレーニングが効果的です。しっかり理解していないということもあるかもしれませんが、それ以上に、理解していることを試験場で出せるようになることが大切だと思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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