惑星科学専門の研究室、経験浅い学生にも「世界初」の可能性が!
大学や学部をどのように選び、何を学べば将来に生かせるのか。そのヒントを求めてさまざまな大学の研究室を訪ねるシリーズ。今回は、次々に発見されている太陽系以外の惑星「系外惑星」を研究し、宇宙と生命の謎に迫る、東京工業大学、井田茂教授の研究室に伺った。
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私の専門は惑星科学です。惑星と聞くと、地球や火星、金星などが思い浮かぶでしょう。こうした太陽系の惑星以外にも、宇宙には恒星の周りを回る惑星があるはず……。約20年前までは、1つも存在が確かめられていなかった太陽系以外の惑星「系外惑星」が、近年次々に確認され、常識が覆されています。
こうした状況下では、新しいテーマがどんどん見つかります。すでに確立された学問では、経験の浅い学生が国際的に認められる研究をするのは難しいものです。しかし、惑星科学には学生にも「世界初」の研究成果を生み出す可能性があり、やりがいを感じながら研究に取り組めます。
研究が加速されている背景には、観測技術はもちろん、インターネットがもたらしたコミュニケーション技術の進歩があります。今は、インターネット上で論文が無料公開され、簡単に入手できます。世界中の研究者とリアルタイムで議論もできるのです。
私たちの研究室の研究手法の基本は、コンピュータ・シミュレーションです。惑星を観測して得られたデータをもとに仮説を立て、シミュレーションをしながら、惑星や太陽系がどのように生まれたか、理論を構築します。新しい惑星が見つかれば、新しい観測データがもたらされますが、そうしたデータに振り回されないような指導もしています。目的は、日々更新されるデータを説明することではありません。データをもとにして、太陽系や惑星の成り立ちなどを解明することが目的であることを、学生たちには忘れないでほしいのです。