本文から「抜き出し」をする問題がまったく解けません[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小6男子(性格:わんぱく・強気なタイプ)のお母さま


質問

物語文が特にですが、「抜き出し」をする問題が全く解けません。文章を読みながら線をひき、一生懸命選ぼうとしているのに、いつも見当違いの場所を抜き出します。解答を見ると「なるほど」と納得しているわりには、全然正解率が上がりません。読書も好きです。


小泉先生のアドバイス

まずは何をどのように考えているのかを聞いてあげる。

難関校をめざしておられて、国語の成績も悪くないのに、抜き出しをする問題がまったく解けない、というのは不思議です。しかも読書も好きということですから、ますます不可解です。

ひとつ考えられることは、性格的に「わんぱく」で「強気」ということから、非常に思い込みが強く頑固な面があるのではないかということです。思い込みが強く頑固なため、あまり人の話や意見を聞いたり、取り入れたりしないのではないでしょうか。抜き出し問題で答えを見つける時も、自分なりに信じる方法を確立していて、それで探しているのだと思います。しかも、その方法がどうやら上手に機能していないのでしょう。

ここで、人の話をよく聞く子どもなら、アドバイスとして受け止めて自分なりの方法を修正していけます。しかし、お子さまの場合はそれがなかなかうまくできないのではないでしょうか。

さて、対処方法ですが、「こうしなさい」と言われても、お子さまは自分のやり方に固執して、なかなか受け入れない頑固さがあります。このような性格の場合は、まずは何をどのように考えているのかを聞いてあげることから始めるとよいでしょう。聞いてあげながら、まずい点を指摘してあげるのです。

お子さまのやり方では正解が見つからないわけですから、どこかにまずい部分があるはずです。その部分を見つけて、修正してあげましょう。しかもその時、論理的かつ具体的でなければ納得しないと思います。お子さまの考え方に沿って、しかもその考え方を生かしたやり方を、自分で見つけさせるような指導がいちばん望ましいと思います。具体的には、お子さまが抜き出したらその「根拠」を聞き、それが正しくないなら、一緒に考えて修正していくという作業になります。

一般的に、頑固な子どもは他の人の説明を聞いているようで聞いていないことが多いようです。たとえば、先生が説明を始めると、とたんに思考が停止する子どもがいます。あるいは、まったく違うことを考えてしまう子どももいます。そして、説明が終わって「わかったね」と言うと、にっこり笑って「わかった」と言うのですが、いざ問題を解かせると言われたようにはやらないのです。これでは、苦手を克服できるはずはありません。

頑固な子どもを指導する時は、ちゃんと説明を聞いているか、しっかり理解しているかを確認しながら説明することを心がけましょう。また、途中でわかっているか、簡単な質問をしながら説明をすることが大切です。さらに、人の話を聞くことの重要性を、その都度言って聞かせることも必要だと思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

子育て・教育Q&A