子どもの「主体性」を伸ばすには「やってみたい!」気持ちを大切に ボーク重子さんに聞く! これからの子どもを幸せにする「非認知能力」の育み方~Lesson4 主体性

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インターネットやコンピュータを使えば、世界中の知識は瞬時に手に入り、もはや知識だけではAIにはかなわない時代です。そんな時代だからこそ、大事になってくるのはAIでは難しい自分で考え、行動する「主体性」です。
非認知能力が教育でも重視されているアメリカで子育てを経験された、ライフコーチのボーク重子さんに、「子どもを幸せにする《非認知能力》の育み方」について連載でお伺いしていきます。

第4回目の今回は、AI時代に役立つ「主体性」について、お話を伺いました。

この記事のポイント

【おうちのかたのお悩み】
Q.子どもがやりたいと言って始めた習い事を、さぼろうとしたり、遅れて参加したりします。やる気がないように思うのですが、どうすれば、自分で主体性をもって習い事に取り組む子になれますか?

習い事は「主体性」を伸ばすただのきっかけ。
最短のお試しまでやり切れば、いつやめてもいいはず

 ボークさん:「習い事」は子どもの主体性を訓練するとてもいい機会だと思います。  習い事は、親が小さいころ自分がやりたかったことだとか、みんながやっている習い事だからとかではなく、子ども自身がやりたいといったことをまずはやってみるということが大切です。習い事が親の押し付けだと、それは苦行であり、長続きしません。ぜひ、子どもの「好き!」を使って、主体性をポジティブに育んでもらいたいですね。本当に好きならきっと続くはずです。
 習い事を始める時のポイントは、「最短で試してみる、そこまではやり切る」と決めてから始めることです。そうするとやめたくなった時でも、最短の期間まではやり切れるので、子どもも達成感を持ってやめられます。大事なことは、子どもが自信を持って、自分で考え実行するということです。
 時間とお金をかければかけるほど、「これだけお金をかけたのだから……」「一回始めたのだから最後までやらないと、やり抜く力がつかない」と思ってしまいがちですが、子どもが好きだと言って始めたとしても、まずはやってみなければ、本当に好きかどうかは子ども自身もわかりません。やってみたら違ったということも当然あるでしょう。それは認めつつ、最初に決めた最短の期間まではやり抜き、そこにきたら、「どうするか」を親子で話し合い、「面白くなかった」「他のことをやりたい」といった場合は、潔くやめ、また次のことに挑戦していいと思います。

子どもの主体性を伸ばす「3つのやらないこと」と「3つのやること」

主体性を伸ばす「3つのやらないこと」とは?

子どもの主体性を伸ばす「3つのやらないこと」とは、
1 「答えを与えない」
2 「否定しない」
3 「指示しない」


この3つです。

1 「答えを与えない」

 答えを与えないというのは、たとえば子どもが「ねーねー、これはなんで?」と聞いてきた時に、答えを与えてしまうと、子どもは「ママに聞けばいいや」と思うようになります。そうすると、ママに聞けばいつだって答えを教えてもらえるので、「わからなかったらママに聞く」という思考回路になってしまいます。それでは主体性が育ちません。主体性の鍵は「好奇心」にあります。答えを与えてしまったら、そこで思考は止まってしまうので、「どうしてかな?」「こうしたらどうなるかな?」と自分で考えることをしなくなり、好奇心は育ちません。

2 「否定しない」

 子どもがすることや発言を「否定しない」ことも重要です。
 なぜ否定しないことが大事かというと、否定されると守りに入り心が閉じるからです。
閉じた心だと、「これは間違いなんだ……」と思うようになります。そうすると「間違うから、やめよう」「間違わないためにはどうするか……やらない」といった思考回路になってしまい、何も自分からやらない子どもになってしまいます。

3 「指示しない」

 親が指示してしまうと、子どもは「指示待ち人間」になってしまいます。
 「こうしなさい」、「ああしなさい」。これは明らかな指示ですよね。
 親が「あなたのためを思って言っていることなのよ」と言って、子どもにやらせることもまた「指示」です。子どもは言うことを聞いていれば楽なので、自分で考えなくなってしまいます。親の思い込みかもしれないのに、自分で考えず、主体的に行動しなくなりますし、子どもが自ら問題解決をする機会を奪ってしまうことになります。
 何となく主体的にやっているように見えることでも、単に言われたことをやっているだけでは、主体的にやっていることとは少し違います。

主体性を伸ばす「3つのやること」とは?

子どもの主体性を伸ばす「3つのやること」とは、
1 好奇心を伸ばす
2 好きなことを見つける
3 親が手本を見せる


この3つです。

1 「好奇心を伸ばす」

 好奇心を伸ばすために「問いを立てる力」を育むことも大事です。そのためには、親も「これはなんでだろうね?」と子どもに聞いてあげて、一緒に考えてあげることです。
 親が「こうしてみたらどうかな?」と子どもに言えば、子どももやってみようと思うものです。
 「自分で考えなさい」だけでは、なかなかハードルが高いので、親が導く問いかけをたくさんしてあげることで、子どもが「やってみたい」、「もっと考えたい」と思えるようになります。

2 「好きなことを見つける」

主体的に行動する鍵は、やはり子どもの「やりたい」という気持ちです。苦手なことや嫌いなことだと、なかなかそういった気持ちは湧きにくいものです。娘の学校では、「学校はとにかくその子が好きなことを見つける手伝いをする場所だ」と言っていたぐらいです。そのためにも、大事なのは子どもの経験値を上げることです。子どもが何かやりたいといった時に、その気持ちを否定せずに、「面白そうだね!」「やってみようか!」と声かけをすることで、子どもはどんどん自分から取り組んでいきます。

3 「親が手本を見せる」

 親が目の前で手本をやって見せることも効果的です。「主体性」という言葉を知らなくても、親が「これって何かな?」「ちょっと調べてみようかな」「ママこれやりたくて試したら失敗しちゃった。どうやったらうまくいくかな」など、そういったことを普段子どもがいるところで共有していくのです。そうすると子どもは主体性という言葉を知らなくても、自分がやりたいと思ったものはまずやる。そして結果を踏まえて先に進むものだ、と自然と体に刷り込まれていきます。

 子どもの「やってみたい」と素直に言える気持ちはとても大切です。とりあえずまずは何でも試してみて、自分でどう思うか、これは好きか嫌いか、そういったことも自分で考えながら取り組むうちに、子どもの主体性はどんどん伸びていきます。

まとめ & 実践 TIPS

子どもの主体性を伸ばす鍵は、「3つのやらないこと」と「3つのやること」にありました。また習い事は、主体性を伸ばす絶好のチャンス。子どもの「やってみたい」気持ちを大切に、いろいろなことに挑戦したいですね。

非認知能力について、もっと詳しく読みたいかたはこちら
子どもを幸せにする非認知能力の育み方

プロフィール


ボーク重子

ICF会員ライフコーチ。Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表。米ワシントンDC在住。30歳の誕生日を前に渡英、ロンドンにある美術系大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、フランス語の勉強で訪れた南仏の語学学校で、米国人である現在の夫と出会う。1998年渡米し、出産。子育てと並行して自身のキャリアを積み上げ、2004年にアジア現代アート専門ギャラリーをオープン。2006年、ワシントニアン誌上でオバマ元大統領(当時は上院議員)とともに、「ワシントンの美しい25人」の一人として紹介される。一人娘であるスカイは2017年「全米最優秀女子高生」コンクールで優勝し、多くのメディアで取り上げられた。現在は、全米・日本各地で《非認知能力を育む子育て》《新しい時代のキャリア構築》についてコーチングと講演会を開催している。著書に『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)、『「非認知能力」の育て方』(小学館)など shigekobork.com 東京FMラジオ局のAuDee (Iphoneアプリ)、マイスタジオにて「ピンクdeワオ:自己肯定感コーチング」毎週月曜日から金曜日朝6時配信中。

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