問題文を読まずに解答をしようとするためまったく解答できない[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小3男子(性格:大ざっぱ・わんぱくなタイプ)のお母さま
質問
国語の文章問題が苦手です。問題文を読まずに解答をしようとするため、まったく解答ができず、すぐに親に「わらからない」と言って助けを求めてきます。一緒に文章を読んであげると、すぐに理解してくれますが、どうやったらきちんと問題を読めるようになりますか。ちなみに普段は読書をしません。マンガでさえも読もうとはしません。借りてくる本は迷路などの本ばかりで、文字が書いてある本はあまり好きではないようです。
小泉先生のアドバイス
お母さんが時間を割いて、音読や黙読の勉強を見てあげる。
「読書をしない」「マンガさえも読まない」ということですが、このような子どもが増えているように感じます。昔は「マンガばかり読んで!」という叱り文句が常套(じょうとう)句であったはずなのに、なんだか妙な気がします。そういえば、ケーキなどの甘いものが嫌いという、子どもらしくない子どもも増えているように感じます。本やマンガを読まない子どもは、テレビでもアニメとかドラマは見ないようです。何を見ているのかといえば、クイズ番組とか名所探訪などの番組のようです。これは私の周りにいる生徒の皆さんのことであり、限られた人数からの感想なので断定はできませんが、「子どもは甘いものが好き」「子どもはマンガが好き」という私の固定観念からすると、「へー、そうなんだ」とついつい驚かされてしまいます。
さて、お子さまのケースですが、このままでは6年生になった時点で「国語が苦手な受験生」になる確率はかなり高いと思います。「一緒に文章を読んであげると、すぐに理解してくれます」ということですから理解力はあるのでしょうが、熟語や慣用句などの語彙(ごい)の不足はもちろん、物語文では心情表現が読み取れない、説明的文章では難しいテーマになると文章が頭に入ってこない、などの点で苦しむ恐れがあります。高学年になってしまった時点では国語の基礎力を取り戻す時間がなかなかとれないでしょうから、3年生の今の時点で基礎的な読解力の強化に力を入れるべきだと思います。ただし、お子さまは性格的に大ざっぱですから、かなり楽天的である可能性があります。もしそうだとすると、国語を勉強しなさいとか読書をしなさいと言っても、「なんとかなる」ということで、なかなか真剣に取り組もうとしないかもしれません。ここはやはり、お母さまがご自分の時間を少し割いて、積極的に勉強を見てあげる必要があると思います。
具体的な勉強としては、音読から始めるのがいちばんよいでしょう。きちんと問題文を読まずに飛ばし読みをしているから、「解答ができずにすぐに親にわからないと言って助けを求めてくる」のです。問題を解くという段階の前に、まずはしっかり問題文を読むことが必要であることを認識させる必要があります。もちろん、最初は嫌がるかもしれません。面倒くさいと言って、声に出して読もうとしないかもしれませんが、いろいろ工夫して練習させてください。たとえば、長時間やると飽きますから毎日10分くらい音読するとか、お子さまとお母さまが交代で音読するなどです。また、物語の会話文であればそれぞれの登場人物になって音読するなど、いろいろ工夫すれば楽しく音読の勉強ができると思います。あるいは、音読の前に「読み聞かせ」をしてあげることで、どのように読んだらよいのかを示す必要があるかもしれません。
音読に使う教材は、本、教科書、あるいは塾の問題文でもよいでしょう。しばらく続けていくと文章を読む楽しさがわかって、自然に読書の習慣が身に付くかもしれません。音読に慣れてしっかり読めるようになったら、次は黙読に移ってください。黙読の場合は文章を読んだあと、どのような話だったかを、例えば「○○の物語」とか「○○の話」などと一文にまとめて説明させるようにすると、しっかり読ませることができると思います。