グリット(やり抜く力)は、環境や才能に関係なく自分で伸ばすことが出来る能力 ボーク重子さんに聞く!これからの子どもを幸せにする「非認知能力」の育み方~Lesson6 グリット(やり抜く力)

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ライフコーチのボーク重子さんに子どもの「非認知能力」の育み方について、連載でお伺いしています。第6回の今回は、最後まで諦めずにやりぬく子を育てるための「グリット(やり抜く力)」についてです。

この記事のポイント

【保護者のかたのお悩み】
Q.習い事や勉強で目標を決めても、「できない」と途中で子どもが投げ出そうとします。どうすれば、モチベーション高く最後まで取り組むことができますか? また、習い事を「やめたい」と子どもに言われた時に、やめグセがつかないか心配で、やめさせてよいのか迷います。

その目標は子どもが自分で決めたものか

ボークさん:まずはその「目標」を誰が決めたかということが大事です。子どもと相談せずに、親が決めていませんか? また一緒に決めたと思っていても、親が目標を管理していて、子どもが「言われたからやっている」という状態になっていないでしょうか。
モチベーション高く、最後まで取り組むには、子どもが「主体的に」「自分から」取り組めているかということが重要です。

子育ての大きな役目の1つとして、子どもが「自分で自分を管理できるようになる」ということがあります。親は「子どもだからまだ無理」と、勝手に目標やゴールを設定しがちですが、それでは、子どもの「主体性」が育ちません。
「主体的に」「自分から」興味や関心をもって、やりたいと思えることを、「内的動機付け」と言います。これは、自分の内側からのモチベーションであり、この動機付けがあることで、投げ出さずに最後までやり遂げようとする力がわいてきます。

「できない」の背景を考えてみましょう

子どもが「できない」という時には、何かしらの理由があります。
面倒だと思っているのかもしれませんし、疲れているのかもしれません。特にたくさんの習い事をしているお子さんだと、体力も気力も消耗してしまいます。大人であっても、疲れていたら、モチベーションを上げることは難しいですよね。子どもだったらなおさらです。まずは「できない」という言葉の裏にある、原因を考えてみましょう。疲れ以外にも、難易度が高くてできない、親の期待を押し付けられているなど、いろいろな原因から「できない」になっていることが考えられるので、調整が必要です。

やめグセをつけずに習い事をやめるには

習い事をやめるタイミングですが、我が家で実践していたことは、習い事の「やめる時期を決めてから始める」ということです。もし気に入れば、またそのやめる時期を延ばしていけばよいのです。何よりも、子どもが「主体的に」やりたいと思う気持ちが大事なので、まずはやってみることを大事にしていました。実際にやってみないと本当に好きか、興味をもって取り組めるのか、わかりませんよね。ただし、「1回限り」、「2時間限定」といった習い事でも、最初に「ここまではやる」と決めたら、そこまではやめずにやり抜きます。そうすることで、やめグセがつかないだけでなく、始めたら、最後までやり抜く体験ができ、自己効力感が高まり、グリット(やり抜く力)につながっていきます。

グリットは環境や才能に関係なく、自分で伸ばすことができる

グリットとは、
Guts(ガッツ):困難なことに立ち向かう闘志
Resilience(レジリエンス):回復力。失敗してもあきらめずに続ける粘り強さ
Initiative(イニシアティブ):自ら目標を定めて取り組む主体性
Tenacity(テナシティ):最後までやり遂げる執念

それぞれの頭文字をとって作られた造語です。
これらをすべて含んでグリット(やり抜く力)と呼ばれています。
グリットは、すべてが「自分の行動」にかかっています。それはつまり、先天的な環境や才能に関係なく、100%自分でコントロールすることができ、自分で伸ばすことができる能力です。

結果ではなく「行動」したことを認め、ほめましょう

グリットを伸ばす上で大事なことは、「成功体験を見える形で積み上げる」ことです。
この「見える形」がすごく大事であり、たとえば習い事であれば「行ったらごほうびシールを貼る」など、「行動」したことを見える化することです。そうすることで、「自分はがんばっている」と感じることができ、あきらめずにやり抜く力が沸いてきます。

またおうちのかたは、子どもをほめる時に「がんばっているね」と声をかけるよりも、具体的に行動したことをしっかりほめたほうが次の再現性につながります。たとえば、見たいテレビを我慢してテスト勉強に取り組んだ時は、「テレビが見たいのを我慢して取り組めて、偉いね」と声をかけることで、子どもはこの行動でよかったんだと感じ、次にも同じ行動を再現しようとします。
「100点」という結果を再現するのは、できる時もできない時もあるので難しいですが、「100点に向けて自分が行った行動を再現すること」なら、できるはずです。だからこそ、結果ではなくそのプロセス、行動をほめ、その体験を積み上げることで、グリットは伸ばしていけます。

まとめ & 実践 TIPS

グリット(やり抜く力)を伸ばしていくには、結果ではなくプロセスをほめることが大事だとわかりました。プロセスとは、「具体的な行動」であり、その行動が認められ、ほめられることで、次の再現性や意欲にもつながるようです。

非認知能力について、もっと詳しく読みたいかたはこちら
子どもを幸せにする非認知能力の育み方

プロフィール


ボーク重子

ICF会員ライフコーチ。Shigeko Bork BYBS Coaching LLC代表。米ワシントンDC在住。30歳の誕生日を前に渡英、ロンドンにある美術系大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、フランス語の勉強で訪れた南仏の語学学校で、米国人である現在の夫と出会う。1998年渡米し、出産。子育てと並行して自身のキャリアを積み上げ、2004年にアジア現代アート専門ギャラリーをオープン。2006年、ワシントニアン誌上でオバマ元大統領(当時は上院議員)とともに、「ワシントンの美しい25人」の一人として紹介される。一人娘であるスカイは2017年「全米最優秀女子高生」コンクールで優勝し、多くのメディアで取り上げられた。現在は、全米・日本各地で《非認知能力を育む子育て》《新しい時代のキャリア構築》についてコーチングと講演会を開催している。著書に『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)、『「非認知能力」の育て方』(小学館)など shigekobork.com 東京FMラジオ局のAuDee (Iphoneアプリ)、マイスタジオにて「ピンクdeワオ:自己肯定感コーチング」毎週月曜日から金曜日朝6時配信中。

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