2013年私立中学入試の所在地と学校難易度による分析[中学受験]
今年の首都圏私立中学入試は、受験者数前年対比96.0%で、昨年よりも減少率は低かったが、受験者数は減少した。リーマンショックから今日に至るまで、中学入試では受験者数が減少し続けている。実は、昨年の中学入試で、受験者数が減少から横ばいになる前兆も見られたことに加え、バブル崩壊時のデータ分析の結果から、今年の中学入試では、リーマンショックの影響から抜け出し、受験者数は横ばいになると考えた。しかし、欧州危機と中国経済の低迷の影響で、不況が継続することが明確になったせいか、昨年の10月の大手模擬試験での志望校の志願者数を分析した結果、すでに、その時点で受験者数は約3%の減少が予想された。
今年の中学入試を学校の所在地別に分析してみよう。図1は所在地の受験者数前年対比で、過去4年間を振り返ると、毎年、受験者数が大幅に減少する地域が変わっている。激減した地域は2年続けて激減することはなかったが、翌年、増加することもなかった。受験者数前年対比が最も低い所在地を見ると、2010年入試では北東部東京、2011年入試では神奈川、2012年入試では千葉、そして2013年入試では埼玉が10%以上または10%近くの激減となった。偶然だとは思うが、東京→神奈川→千葉→埼玉の順に南関東を反時計回りに受験者数前年対比が大幅に減少した。
図2は、学校難易度別受験者数前年対比の過去4年間の推移だ。図2を見ると、学校難易度の前年対比では、昨年はF・Gランクが10%以上激減した。今年は10%以上減少したところはないが、E・Gランクが9%程度減少した。またHランクは、特殊な入試や受験者数が少ないなどの非エントリー校で、減少率は平均と同じくらいだ。
2010、2009年の受験者数前年対比ではCとDランクを境に難易度が高い学校と低い学校の二極化傾向があり、2011、2010年では、A・B・Cランク校の受験者数前年対比は100%以上で、F・Gランク校の前年対比は85%程度と学校難易度により二極化が顕著となった。しかし、2012年、2011年ではA・B・Cランク校の前年対比が2011年、2010年よりも減少し、F・Gランク校は変わらなかったため二極化は緩和された。さらに2013年、2012年では二極化は緩和されたが、なくなったわけではない。このように受験者数が減少する局面では、一般校の受験者数前年対比は難関・上位校よりも減少する傾向となるが、受験者数が増加する局面では、まったく逆の現象が起こる。
図3、図4では、今年と昨年の所在地と学校難易度の関係がわかる。所在地と学校難易度をかけ合わせたマトリックス単位で見ると、昨年はどの所在地でも、激減したところが多く、二極化が明確であったが、今年は緩和された。また、今年の埼玉の減少はAB・EF・GHランクが、昨年の千葉の減少はCD・GHランクが原因となっていることがわかる。
受験者数の減少で受験が易しくなり、志望校の選択範囲が広くなると、受験生・保護者の志向が受験者数の増減傾向として表れるはずだ。学校難易度別の分析では、受験者数の増減傾向が明確で、受験生・保護者がより難易度の高い学校を求める志向を反映していることになる。そして、所在地の分析では、受験者数の増減傾向がないことから、受験生・保護者の志向がそれほど作用しないことになる。
<各図の表記>
●表示:受験者数が比較的多い:前年対比(前年対比が100%以上)、※増減率(2013/2009が90%以上)
受験者数が比較的少ない:前年対比(前年対比が90%未満)、※増減率(2013/2009が70%未満)
参考データ(受験者数1,000名未満のため)…斜体で表示
●学校難易度:四谷大塚偏差値
A…65以上、B…64~60、C…59~55、D…54~50、E…49~45、
F…44~40、G…40未満、
Hは非エントリー