2011年中学入試からの2012年難易度予測 [中学受験]

2011(平成23)年中学入試の難易度がどうだったかを受験者数の前年対比で分析してみよう。受験者数の増減によって難易度は分析できるが、問題なのはどの入試の受験者数を分析に使用するかだ。というのも、複数の入試日を設定している学校が多く、同じ学校の入試でも入試日ごとに偏差値や受験者数の規模が異なるので、単純に各入試日の受験者数を足して前年対比を算出するのも違和感がある。新規に入試日を設定する学校や入試日を変更する学校も多く、それらの入試の受験者数のどの部分を前年対比に組み込むかで、数値は変わってくる。

そこで、同じ学校で最も早く行われる入試で、できれば午前受験・一般入試(特待生のための入試や特別なコースの入試ではない)の中から代表的な入試を選ぶ。たとえば、受験者数や入学者数が少ない入試や特別な入試で受験者数前年対比を行っても、学校の難易度を分析することはできない。しかし、この方法ならば入学者数が比較的多い入試を選ぶので、今年のように受験者一人当たりの受験回数が減ったとしても比較的正確に受験者数前年対比が算出でき、難易度の実態を反映させた受験者数の分析を行うことができる。

この方法で分析した2011年入試では、全体の受験者数前年対比が、97.0%となった。昨年の2010(平成22)年入試が89.7%と大幅に受験者数が減少したことを考えると、2010年入試よりも受験者数の減少率は縮小したと考えられる。しかし、2年続けて受験者数が減少し続けている学校も多く、入学者数が半減している学校もあり、明確に難易度が下がっている学校が多いと考えることもできる。受験者数前年対比が3%下がったという数字以上に、2011年入試で易しくなったように思われる。

受験者数前年対比が高かった学校でも、本当に難易度が高かったかどうかは、最終的には合格者数と入学者数を分析しなければわからない。というのも、受験者数前年対比以上に合格者数前年対比のほうが高ければ難易度は低くなるからだ。つまり、今年の入試のように、合格者数を多く出した場合は合格者数前年対比が高くなり難易度は低くなる。今年は多くの学校で繰り上げ合格を多く出して入学者を確保したようだが、繰り上げ合格を出せば難易度は低くなる。難易度は合格者数と入学者数も加味して判断すべきだ。

わたしの2011年入試予測は、受験者数が減少することは当たったが、前年対比97%と思ったほど減少率は低くはならなかった。従って、2012(平成24)年入試も減少率が下がることも考えられる。根拠として、バブルの崩壊時の不況の影響を受験者数で分析した結果、3年間は毎年少しずつ減少率が低下していったという分析となったからだ。今回の不況に当てはめると、2012(平成24)年入試までは受験者数が減少することが考えられる。もちろん予測は検証しなければならないが、大手の中学受験模試結果から志願者数前年対比を分析することで検証できるだろう。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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