理由の説明が「おもしろいから」「楽しいから」などとひと言で終わってしまう[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小4女子(性格:論理的なタイプ)のお母さま


質問

国語に限らず……なのですが、どうして? なぜ? という質問に対して答えるのが苦手なようです。理由の説明が「おもしろいから」「楽しいから」などとひと言で終わってしまいます。どこがおもしろいのか、どこが楽しいのかなど、具体的な説明ができるようにするには、どのようにしたらよいのでしょうか? ロジカルな思考はできるようで、論理力が必要なパズルや、クイズのようなものは解けます。漢字も得意で、現在4年生ですが、5年生の範囲まで勉強済みです。


小泉先生のアドバイス

「いつ」「どこで」「だれが」……を使って説明する方法を図で教える。

「具体的な説明」とはどういうことなのか? 「どのようにしたら」できるのか? などを教えてあげるとよいでしょう。「漢字も得意」ということですから、語彙(ごい)の問題ではないと思います。

何かをわかりやすく説明する時、私たちは「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「なぜ」「どのように」を使いますから、これらを使って説明する方法を教えてあげてください。たとえば、お子さまはサッカーが好きだとします。そして、それに対して「なぜ好きなのか?」を尋ねた時、「おもしろいから」だけではなく、「どのように」とか「いつ」などを説明するということです。この場合「サッカーが好き」というのが下図の「事象A」に当たり、説明としては以下のようなものが可能です。



「なぜ自分はサッカーが好きなのか」について、説明する際の組み立て方




いつ 「最近」とか「1年生の時から」など
どこで(どこの) 「学校でのサッカー」「サッカークラブでの」など
だれが 「自分が」「友達が」「みんなも」など
なぜ 「おもしろいから」「楽しいから」など
なにを 「サッカーのなにが」と考えて、「みんなで1つのボールを追うところ」など
どのように 「とても」「野球よりも」「夢に出てくるほど」など


これをまとめますと、「なぜサッカーが好きなの?」という問いに対して、「みんなで1つのボールを追うところが、とても楽しいからかな? 昔から好きだったけど、最近はもっと好きになった。時々、ゴールする瞬間が夢に出てくることもあるぐらい。もっとも、私(僕)だけじゃなくて、クラスの友達もサッカーが大好き。特に、放課後にみんなでやるサッカーは最高だね」という具合です。
ここまで説明すればかなりわかりやすくなったと思いますが(少しおしゃべりがすぎるぐらいですね……)、これは会話での説明だけではなく文章を書く場合でもまったく同じです。

さらに注目したいことは、図にあるように、「なぜ」と尋ねて「おもしろいから」と答えても、その答えに対してさらに「なぜ」を問う(あるいは答える)ことが可能だということです。たとえば、「なぜ好きなの?」→「おもしろいから」→「なぜおもしろいの?」→「体を動かすのが好きだから(なぜ2)」→「なぜ体を動かすのが好きなの?」→「勉強のストレスが解消できるから(なぜ3)」→「なぜ勉強のストレスがあるの?」→……のように、それこそ無限に「なぜ」を問うたり答えたりすることができます。このように「なぜ」を突き詰めていくと“哲学的”になってしまいますから、日常では適当なところでとどめていますが、いくらでも説明は詳しくできるということです。

また、それぞれの「なぜ」に対して、さらに「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「どのように」を問うたり答えたりすることも可能です(例:「勉強のストレスというのはどんなストレス?」など)。

このようなつながりがわかれば、なにを、どのように説明すべきかがわかりますから、どんどん説明が上手になると思います。なお、説明する方法を教える時は、「ロジカルな思考はある」ということですから、つながりをはっきりさせるためにも図のようなものを示しながら教えると、わかりやすいと思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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