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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
病気と予防アドバイス - 心とことば
落ち着きがなく、ずっと動き回っている。よい胎教もできず、ADHDではないかと心配。
10ヵ月の男の子です。低体重で生まれましたが、手足をよく動かす元気な子どもで、ひと月で標準になりお座りやハイハイもかなり早くからできて安心していました。
4ヵ月ごろからよく大声で奇声を発して心配になり、市の育児相談に相談したところ、“赤ちゃんはそういうものだ”と言われ、何とかその時期は乗りきりましたが、現在は息子の性格でさらに悩んでいます…。
奇声をあげていたころからかなりかんしゃくを起こす子でしたが、今はそれに加え落ち着きがなく、ずっと動き回っています。ベビーカーも立ち上がってしまい乗ってもらえず、チャイルドシートも大泣きして暴れてしまい、おまけに食事椅子も3つ用意しましたが、すべていやがって立ち食いの状態です。
男の子は活発が何よりだとは思いますが、最近周囲から“この子ADHDの疑いがあるんじゃない?”と言われ、とても落ち込んでいます。妊娠中に両親のけんかの仲裁に入ったり、親しい友人が事故に遭ったりと、決してよい胎教が与えられなかったことが原因かもしれません。よきアドバイスいただけますよう、よろしくお願いします。
過剰な心配はなさらず、おうちのかたも気持ちをゆったりもってお子さんと接してみましょう。ベビーカーやチャイルドシートは強制ではなく、楽しい雰囲気をつくり、ほめながら慣れさせていくことが大切です。
10ヵ月になるとハイハイのスピードも速くなり、つかまり立ちから伝い歩きを始めるお子さんもいます。目的をもった動きができるようになるので自分の興味の赴くままに移動します。体を動かすことを楽しむ時期でもありますので動きを制限されるベビーカーやチャイルドシートなどをいやがるお子さんもいます。
なかでも感覚的な過敏さをもつお子さんは特に激しく抵抗を示すことがあります。
この時期は知能の発達が目覚ましく、大人の言うことがわかるようになり、「だめ」と言われればおうちのかたの顔を見ながら手を引っ込めたり、大人のまねもじょうずになってきます。また後追いが始まるのもこの時期です。
落ち着きがないというご相談ですが、こうした発達に問題はないでしょうか?
最近、マスコミでADHDという言葉をよく耳にすることがあります。
そのせいかお子さんが少しでも落ち着きがないとADHDではないかとご相談にいらっしゃるおうちのかたが増えてきました。
ADHDは不注意、多動性、衝動性のある発達障害のひとつです。
落ち着きがない、動きが多くてもすべてADHDにあてはまるわけではなく、単なる落ち着きのなさとADHDは明らかに異なります。
ADHDの特徴が顕著に現れてくるのはだいたい3歳~5歳ですので医療機関ではそのころに診断をつけることになります。
また、妊娠中の環境や育て方などがADHDの原因になることはありませんのでご心配はいりません。
少々動きが多くて落ち着きがなくても、遊びの場面ではひとつのおもちゃでじっくり遊べ、おうちのかたの言葉かけに反応してかかわりがとれるようであればあまり心配せず様子を見てください。
おうちのかたが心配しすぎて「~しちゃだめ」とお子さんの行動を制限したり、叱ることが多いとますます落ち着きがなくなってしまいます。おうちのかた自身があまり神経質にならないように注意しましょう。
1歳を過ぎて言葉の発達が遅れたり、人とのかかわりが希薄であるなど何らかの発達の心配が出てきた段階で専門医を受診されることをおすすめします。