入学先が第一志望でなかった時には…… 高校入学まえの1か月で決まる [高校受験]

■不本意な結果の時のほうが保護者のかたの態度が影響する

 親しい私立高校の先生から、こんなことを聞いたことがあります。
 「本校は、入学者の多くが公立高校に不合格だった生徒です。その挫折感を払しょくするのにほぼ1学期間かかります。ですから、公立高校と比べると、スタートラインの位置が3か月遅くなっているのです。大学受験まで、実質2年10か月のうちの3か月は、大きいですよ」

 合格をつかんでいても、そこが当初望んでいた第1志望でなく、第2志望、第3志望だった場合には、保護者のかたも残念な気持ちで、落ち込んでいることと思います。保護者ご自身が熱心に受験に関わってきた場合には、緊張が解け、受験生活の疲れがどっと出て、何をする気力もわかない……、この時期には、そうした状態になっているかたもいると思います。

 受験には理不尽な結果が付きものです。一緒に勉強してきた友達との間で、塾での普段の成績と受験結果とが逆転することもしばしば起こります。
「○○さんがA高校に受かったのに、どうしてうちの子はB高校にしか受からなかったのか」「あれだけやったのに、こんなことになるとは思ってもいなかった」……朝から晩までこうしたことが頭をよぎり、外に出たくないと家の中にこもる保護者のかたもいます。

 が、打撃を受けているのは保護者のかただけではありません。当の本人はあっけらかんとして遊びに出かけているかもしれませんが、内心ではショックを受けているのです。それを、保護者のかたがいつまでも嘆いていたら、本人のショックはいつまでも解消されません。
保護者のかたが理不尽な結果に対して、悔しさのあまり「○○さんはマグレで受かったのよ」「入ってからついていけるのかしら」などと口にしていては、本人もいつまでたっても気持ちの切り替えができず、引きずります。

 「○○さん、よかったね。あなたももう少しだったんだから、よくがんばったよね。B高校も先生がたが熱心そうだから、楽しみだね」、本人の前では立派な保護者のかた役を演じましょう。悔し涙を流すのは一人きりの時。ショッピングに出かけたり、映画をみたり、遠くの街でお茶したり……、そんな時に抑えていた気持ちを晴らしましょう。
第1志望に受かった時よりも、保護者のかたの影響がずっと大きいのは、不本意な結果だった時なのですから、強い気持ちで、後ろを向かず、これからは先のことだけを考えてください。

 冒頭の先生の話にあるように、いかに早く挫折感を払しょくさせるかが大事なのです。それには保護者のかたの態度が大きな役割を果たすのだと心づもりをしてください。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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