推薦入試で早い時期に進学先が決まった場合 入学までをどう過ごす?[高校受験]

 推薦入試、前期選抜などで、既に進学先が決まっているお子さまもいるでしょう。そうしたご家庭ではゆったりした空気が流れ、お子さまは毎日お友達と遊びに出かけているかもしれません。
 昨今大学では学力試験を行わないAO入試や、推薦入試で入学してきた学生の学力の低さが問題になっており、難関大学でも「初年次教育」に力を入れるようになっています。こうした動きは、実は高校でもあるのです。

 12月の入試相談でほぼ合格が保証された中学生は、安心してその後ほとんど勉強しなくなってしまいます。一方で、3月の一般入試まで当日の学力検査に向けて勉強し続けてきた中学生もいます。学力の差だけではなく、勉強習慣自体をなくしてしまった生徒と、勉強習慣がしっかり身に付いている生徒、この両者が4月に同じスタートラインに立つわけです。この両者がその後どうなるかは推して知るべしです。
 ですから、早くに合格が決まったお子さまほど、入学までどう過ごすかが重要になるわけです。



■学校では受験を控える子の勉強のサポート役の気持ちで

 この時期、中3の担任の先生が頭を悩ませることは、推薦入試で進路の決まった生徒が浮かれて授業に集中せず、一般入試を控えて神経質になっている生徒との間がギクシャクすることです。既にお子さまの進学先が決まっている場合、クラスでは喜びを口や態度に出さないようにお話しされるといいと思います。可能なら、これから受験を控えているお友達のサポート役ができないか、アドバイスされてはいかがでしょう。
 たとえば、漢字でも、英単語でも、社会や理科の用語でも何でもいいのですが、休み時間に1問1答のやりとりをする、といった簡単なことでいいのです。こうしたことをすることで、お友達の役に立つと同時に、本人の復習にもなります。

 卒業関連行事等の準備、係なども、推薦組が積極的に名乗り出るようにしてはどうかと思います。こうした直接的なこと以外にも、卒業前によい友人関係を築いておくことはお子さまにとって財産になるので、お友達に協力できることがあれば、するようにおすすめください。



■家では苦手を高校に持ち越さないように準備を

 中学校の宿題もなく、これまでで最も余裕のある時期には、すべきことやこれといった目標がないと、ついダラけた生活になりがちです。お子さまと話し合い、入学までに中学時代の勉強の復習スケジュールを立ててはどうでしょう。とくに、模擬試験などで成績が悪かった教科や単元の復習は、必ずやっておきたいことです。「苦手を高校に持ち越さない」--これが原則です。
 進学先が私立高校の場合は、入学前の課題が出されていることが多いと思います。もちろんこれをきちんと仕上げることが最優先の課題です。ギリギリまで手を付けないでおいて、直前にバタバタやっつけるようでは、せっかくの勉強が身に付きません。これについても早くからコンスタントにこなしていくようにスケジュールを立てさせてください。

 お子さまに毎日きちんとした生活をさせるためには、保護者のかたもきちんと生活することが大切です。起床時間、食事時間、入浴の時間、就寝時間等が一定であることにより、自然と生活にリズムが生まれます。保護者のかたもこうしたことで協力してあげてください。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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