前年の出願者数が参考になるか、判断する手立て 本番を控えて気をつけるポイント [高校受験]

 都道府県によっては、今年の受験生の志望動向を探るため、秋頃に中学校を通じて中3生を対象にした「進路希望調査」を行います(名称は「志望予定調査」など、都道府県によって異なります)。その結果は、年末から年初に各都道府県の教育委員会のHPで公表されます(調査しても、一般には公表されない都道府県もありますので注意してください)。
 お子さまにお聞きになって、そうしたものに答えた記憶があれば、教育委員会のHPをのぞいてみてください。「報道発表」という項目にアクセスすると、探しやすいかもしれません。
 それを見ると、今年の受験生がどの高校に出願したがっているか、おおよその見当が付きます。お子さまの受験予定の高校が、どのくらいの人気なのかがわかるのです。
 私は仕事柄こうした調査結果をよく見るのですが、毎年人気校が比較的固定している都道府県と、年により大きく変化する都道府県とがあります。ですから、お住まいの都道府県ではあまり変化しないのか、大きく変わるのかを押さえておけば、本番の出願者数も前年のデータが参考になるか、あまり当てにならないか、判断できるというわけです。
 例として、神奈川県と東京都を挙げてみます。(なお表の年度は調査の年度で出しているので、平成24年が平成25年度入試に相当します。)

■神奈川県の普通科の希望者の多い学校ベスト10校(10月の「進路希望調査」、12月に公表)

 平成23年の進路希望調査でベスト10以内にあり、平成24年もランキング入りしているのは海老名、横浜市立戸塚、横浜平沼、横浜市立桜丘の4校のみ。特徴的なことは、平成23年は「学力向上進学重点校」は1校も入っていませんでしたが、平成24年は湘南、川和、横浜翠嵐、鎌倉と4校も入っており、様相がガラリと変わっています。

 これに対して東京都は、
■東京都の普通科の希望者の多い学校ベスト10(12月の「都立高校志望予定調査」、1月に公表)

 東京都は全国的にも例外で、一般の普通科は募集定員が男女別になっているので、男子と女子に分けてあります。

<男子>

 平成23年の志望予定調査でベスト10以内にあり、平成24年もランキング入りしている高校が戸山、西、日比谷、新宿、国分寺、国立、駒場と7校もあります。平成23年の上位7校は平成24年もすべて8位までに入っています。西と駒場の変動が大きいくらいで他の5校は国分寺の25名差が最大で、戸山はなんと同数。7校中、戸山、西、日比谷、国立の4校は「進学指導重点校」、新宿、国分寺は「進学重視型単位制」と、東京の男子は例年上位校志向が顕著なことがわかります。

<女子>

 平成23年の志望予定調査でベスト10以内にあり、平成24年もランキング入りしている高校は新宿、三田、文京、国際、国立の5校。平成23年に2位、3位に入っていた向丘、杉並が姿を消しているほどで、男子と比べると変動が大きいことがわかります。また、男子と大きく異なる点は、「進学指導重点校」が国立の1校しかないこと。男子のような上位校志向は見られません。

 このように、都道府県によって、また男女によっても傾向は異なるので、お住まいの都道府県が比較的前年と変動しないのであれば、今年もそうなると判断し、年により大きく変化するのであれば、前年の動向は参考にする程度にして受験校を考えればいいでしょう。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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