問題文を最後まで読まずに解答してしまいます[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


【質問】

問題文を最後まで読まずに解答する癖がついているようです。先日も「当てはまらないものを選べ」という問題なのに、「当てはまるもの」を選んで答えていました。最後まで問題文をきちんと読むようにするには、どのようなトレーニングをすればよいのでしょうか?

相談者:小3女子(大ざっぱ・感情的なタイプ)のお母さま



【回答】

マーカーで印を付けながら読ませる


■線や印を付けながら読むと集中力が上がる

集中して文章を読むには、鉛筆などで線を引いたり印を付けたりして読むと集中力が上がります。人は手を動かすことで集中力が増す動物なのでしょう。しかし、小学生の場合は、鉛筆だと集中できないお子さまもいます。もっとはっきりと印が付くもの、たとえばピンクやグリーンのマーカーなどがしっくりいく場合があるようです。中学生や高校生でも、試験前になると教科書や参考書にマーカーで線を引きながら勉強している人がいますが、それと同じです。鉛筆はいつでも消せますが、マーカーは一度引くと消せないので、集中して読むのだと思います。

■どこに印を付けるかを教える

さて、次に問題になるのは「どこに付けるか?」ということです。たとえば「文章の中の大切なところに付けろ」などとあいまいな言い方をすると、どこに付けたらよいかわからず困ってしまうでしょう。恐らく、やたら線を引いて問題文がマーカーで塗り潰されるか、あるいはほとんど付けないかのどちらかになると思います。こうしたことを避けるために、必ずどこに付けるかを教えてあげてください。

たとえば、物語文の場合は、登場人物や気持ちを表す言葉に印を付けます。気持ちを表す言葉、すなわち心情表現には「うれしい・悲しい」などの直接的なものと「こぶしを握りしめて・頬がこわばる」などの間接的なものがありますが、特に間接的な心情表現は要チェックです。さらに、気持ちが変化したところや変化した理由などにも線を引きましょう。もちろん登場人物の人間関係(親子、兄弟、友人など)も大切ですし、気持ちもうれしいのか、悲しいのかどんな気持ちなのかもメモしたいところです。少なくとも「いい気持ち(+)」なのか「嫌な気持ち(-)」なのかの印を付けて読んでいくと、気持ちの変化が目に見えてはっきりと展開がわかると思います。ただし、最初からいろいろなことをやらせると、線を引くことだけに集中してしまい、物語の内容や展開を追うことがおろそかになってしまいます。まずは登場人物、次には間接的な心情表現などと少しずつ線を引かせる箇所を多くしていくとよいでしょう。

■説明的文章で印をつけるコツ

説明的文章の場合は、接続語や繰り返し出てくる言葉(似ている言葉も含む)などに線を引きます。接続語に注目することで、文の展開がどうなるかを意識させることができますし、繰り返し出てくる言葉に注目することでその文章の話題をつかむことができます。もちろん論説文でしたら、各段落の中心になる文、さらには話題を示す文や結論を示す文などに線を引きたいし、引ければそれに越したことはありません。しかし、文章の話題をつかむことができる、お子さまならマーカーを使わなくてもしっかり読めるでしょうから、まずは、はっきりわかる接続語や同じ言葉に線を引いて集中しながら読むことから始めるのがよいでしょう。

■問いでも、算数の文章題でも線を引く

問題文だけではなく、問いにも線を引かせるとよいでしょう。問いの場合は、「どんな気持ちですか」とか「どんなことですか」など質問している箇所に線を引きます。また、「抜き出しなさい」とか「30字以内で」などの条件にも線を引きます。条件と言えば、選択肢の「あてはまらないものを選べ」なども線を引かなければならないところでしょう。こうした練習を普段していると、いざ試験になった時にも鉛筆で線を引きながら集中して読むことができるようになります。

また、線を引きながら読むことは算数の文章題でも有効です。特に長い問題になってくると散漫に読んでしまい、条件を読み飛ばしてしまうことがあります。「3人で分けると・4年後には……」などの“条件”と「何枚必要でしょうか・何歳になりますか……」などの“求めるもの”に線を引くことで、しっかり読めるようになります。算数の場合は、引くべきところがはっきりしているので、マーカーで線を引くよい練習になると思います。まずは、算数の文章題や国語であれば線が引きやすい物語文から始めるのがよいと思います。慣れてきたら徐々に、チェックさせる箇所を増やしたり、マーカーを鉛筆に持ち替えさせたりするとよいと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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