受験直前、安心感に満ちた親子と不安定に見える親子 本番を控えて気をつけるポイント [高校受験]

私の同僚が学習塾を経営しているので、この時期の受験生、保護者の様子を目にすることがあります。
自分で教えているわけではありませんし、同僚から成績を聞いているわけでもないため、学力面がどうなのかはわかりませんが、塾長との会話、友達同士での雑談から、「まず大丈夫だろうな」と感じるお子さまと保護者のかたと、「危ないのではないか」と心配なお子さまと保護者のかたがいます。

 どういうことかというと、前者は、


 ・「〇〇高校に絶対受かってやる」という迫力を感じるお子さま
 ・「先生、この問題を自分でやってみたのですが、この解答でいいですか?」「この問題はどうやって解くのですか」……と、先生と具体的なやりとりをしているお子さま
 ・普段どおりの落ち着いた口調で、塾長に受験校について相談している保護者のかた


 一方後者は、


 ・受験直前の今頃になって、「自己PRカードを書く必要が生じるといけないから、〇〇高校にも見学に行っておこうと思うのですが、どうでしょう?」と先生に申し出るお子さま ・何に手を付けたらいいかわからなくて、「先生、何をやればいいですか?」と聞いているお子さま
 ・「××高校は今年難しくなると聞いたのですが、△△学園にしておいたほうが安全でしょうか?」と、浮き足立って塾に相談に来る保護者のかた


 といったタイプです。

 ここで、私がアドバイスしたいことをいくつか記したいと思います。


  • いちばんいけないのは、本番が迫ってくるプレッシャーから浮き足立つことです。その不安を、易しい高校に受験先を変えることで解消しようとします。公立高校間であれば、入試問題が共通なので問題ないように思うかもしれませんが、いったん弱気になると、実力を十分発揮できなくなるものです。この期に及んで他校を見に行ったりしている時間はありません。中学校の先生、あるいは塾の先生と相談して決めたのであれば、右往左往せず、勉強に集中するのみです。
  • 志望校に合格するには、今の自分(お子さま)には何が足りないのかを、これまでの模試の成績表、答案、過去問をやった結果などで客観的に分析し、その結果をもとに本番までに何を優先的にやるか決めることです。塾に通っているのであれば、分析したものを持参して相談するといいでしょう。この時期、プレッシャーが生じるのは当たり前です。不安を解消する手立ては具体的なことをやる以外にはありません。
  • この時期は学校のクラスの保護者同士、塾の保護者同士で受験についてあれこれ会話し、情報交換すると思います。受験にはさまざまな都市伝説やうわさが付きもので、それらがマル秘情報のように大げさに語られがちです。そんなものの大半は根拠がありません。私が言うのですから間違いありません。この時期、周囲に振り回されて動揺することほど馬鹿らしいことはありません。お子さまを信じて、ドッシリ構えてください。

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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