主人公の気持ち答える国語問題 「想像」ではなく「推測」が大切

読解力や想像力が試される中学入試の国語の問題。物語の主人公の立場になって、その気持を答えるという問題も少なくない。そんな国語の問題に悩む保護者の質問に、平山入試研究所の小泉浩明氏が、実践的なアドバイスをする。

 

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【質問】
物語文で、主人公の気持ちを考えるのが苦手です。主人公が同い年位の女の子なら理解もしやすいようですが、男の子や大人が主人公だと、わかりづらくなるみたいです。(小4女子を持つ母親)

 

【小泉氏のアドバイス】
ほかの人の気持ちがわかるようになるための方法ですが、お子さまが困っている時に《この子はこう思っている》とか《この人はこんな風に考えている》ということを、お母さんが一緒に考えてあげることが効果的だと思います。文章にある心情表現をていねいに味わいながら、筆者が表したかった登場人物の気持ちをくみ取っていきます。もちろん、単に想像するとか、「自分だったらこんな気持ちになる」というのではダメです。あくまでも文章の展開や設定、そして心情表現を根拠にしてその登場人物の気持ちを「推測」することが大切です。そして、そのような練習を繰り返していくと、いろいろな状況におけるさまざまな立場の人の気持ちが少しずつわかるようになると思います。

 

しかし、いくら説明してもお子さまがピンとこない場合はあるでしょう。そんな時はどうしたら良いでしょうか。わたしの国語塾でも、同じように説明してもすぐにわかる生徒となかなかわからない生徒がいます。おそらくその子たちの体験やバックグラウンドの違いによって、説明されたことがスッと頭に入ってこない場合があるのでしょう。そんな時は、手を替え品を替え、いろいろなやり方で説明していきます。

 

一つ具体例を出してみましょう。物語で、主人公が怖がってお父さんの背中にしがみついている場面です。そのような状態を表すために、「お父さんの声が背中からじかに聞こえた」という表現があったとしましょう。しかし、そのような状況を説明しても今ひとつ生徒がピンとこない場合です。そんな時にわたしが授業でよく使う手法の一つに、《子どもたちの今までの体験から実感させる》という方法があります。たとえば、「お父さんと自転車に二人乗りして、しっかり背中にしがみついていた経験はない?」と聞きます。そのものズバリではなくても、同じような経験を思い出してもらいます。もしあれば、「その時、お父さんの声が背中から聞こえなかった?」とさらに聞きます。そして、もしそのような経験があれば「あ、あの時のあの状態か!」とその瞬間に理解してくれます。「腑に落ちる」というのはまさにそんな時だと思います。このように、自分の経験を思い出して登場人物の状況と一致できれば、「お父さんにピッタリしがみついている。それほど怖がっている」という登場人物の状況や気持ちを実感できるでしょう。

 

出典:物語文で、主人公の気持ちを考えるのが苦手です[中学受験] -ベネッセ教育情報サイト

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