国語の記述問題で少しピントがずれた答え方をしてしまう[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


【質問】

国語の読解が苦手です。選択問題は正解できますが、記述問題では減点されてしまいます。本文中から抜き出して少し変えて書いており、注目点は合っているのですが、必要な文言が入っていなかったり、少しピントがずれた答え方をしたりしてしまいます。
ほぼできているように感じるので、もったいないと感じます。対策として、毎日1問長文読解の問題を解かせています。読書はよくしていて、試験時間が足りないことはないそうです。読むことはできるのに理解するのが難しい場合、どのように勉強させ、どのようにサポートすればいいのでしょうか?

相談者:小6女子(大ざっぱ・強気なタイプ)のお母さま



【回答】

間違えた原因をチェックし、「なぜそうなったか?」を考える復習が大切



■「構造」はしっかりしているか?

「どのように勉強していけばいいのでしょうか?」という問いの答えとしては、「しっかり復習する」ということでしょう。お子さまの答案と模範解答を比べて「どこがどう違うのか?」「なぜ模範解答のように書くべきなのか?」など、答案の「構造」や書いてある「内容」を確認するのです。
まず、答案の「構造」ですが、一般的な記述の答案は次のように「理由+キーワード+文末」という組み立てになっていることが多いと思います。



問い:「なぜ泣いたのですか?」
答案:お母さまに叱られて 悲しかった から。
   (【1】理由)+(【2】キーワード)+(【3】文末)




■難しそうな問題だけをやる

チェックポイントとしては、

1)「文末」が問いに対応した形になっているか?
 例:「なぜ?」→「~だから」、「どんな気持ち?」→「~気持ち」など。
2)「文末」の直前に問われている内容である「キーワード」が来ているか?
 例:「泣いた」のは「悲しかった」から。
3)「理由」が書いてあるか?
 例:「悲しい」理由は、「お母さまに叱られた」ため。
 ※字数制限などにより「理由」は省略される場合もある。

などです。「内容」はもちろん大切ですが、その前に答案の構造がしっかりしているかを確認することも重要です。




■「内容」はどこが違うのか?

次は「内容」です。模範解答と比べて、減点されている原因をしっかり把握しましょう。「どこがどう違うのか?」「なぜ違うのか?」を確認することで、次に答案を書く時にはより質の高いものが書けるようになるのです。減点される原因はさまざまですが、「こんなところで失敗するだろう」という例をいくつか挙げてみましょう。

まず、「欲しい文字が入っていない」というのは、物語文の「気持ち問題」で登場人物の気持ちがうまくとらえられていない場合にも起こります。また、気持ちはわかっているが、うまい言葉で表現できない場合もあるでしょう。あるいは、一つの気持ちではなく、複数の気持ちが必要な場合もあります(例:うれしい、だけど少し残念)。こうした気持ちの読み違えは、本文に戻って、文脈の流れや心情表現を確認することで、「なるほど模範解答のほうがよい」と納得することが大切です。この「なるほど」という納得の積み重ねが、記述力のアップにつながるのです。




■なぜピントがずれるのか?

「少しピントがずれた答え方」にはいろいろなケースが考えられます。たとえば、説明的文章では、「抽象的な表現」をしてから具体例を挙げて説明する展開(あるいは逆の展開)がよくあります。こうした場合、「抽象的な表現」とその「具体例」は同等であり、同じことを言い換えているにすぎませんが、記述の答案では具体例よりも抽象的な表現のほうを優先して書くべきなので、具体例を書いた場合は減点されることが多いと思います。

あるいは、「なぜ問題」で、近いほうの理由を書くべきところを、遠い理由を書いて減点されることもあるでしょう。たとえば、中学受験を控えた記述問題が苦手な子どもに対して、「なぜ記述問題を勉強するのか?」と聞いたら、その理由は「国語の得点を上げるため」だったとします。続けて「なぜ国語の得点を上げたいか」と聞いたら、その理由は「志望校に合格するため」だったとします。さらに、なぜ「志望校に合格したいか」と理由を聞いたら、「(その学校はサッカーが強いので、その学校に入って)サッカーがしたいから」と答えたとします。

さて、最初に戻って、「なぜ記述問題を勉強するのか」と問われたら、直近の理由である「国語の得点をあげるため」は納得できる答えになります。ところが、少し離れた理由で答えると(たとえば「サッカーがしたいから」で答えると)、ずれた答えになってしまう可能性が出てくるのです。一般的に理由を問われた場合は、このように直近の理由を答えるべきなのですが、慣れていないとつい遠い理由で答案を書いてしまうのです。このような場合も、模範解答と問題文を確認して、近い理由を書くという原則を理解すれば、おかしな答案を書くことは少なくなっていくと思います。




■保護者のかたの一番のサポートは、理由を考えさせること

このように、記述問題で得点力を上げるには何といっても復習が大切です。しかし、実際問題として、国語の復習はなかなかできていないのが現状です。一つの原因としては、算数に比べて絶対的な学習時間が国語は少ないことです。また、復習も算数に比べて手間がかかります。1問間違えても、まずは本文を読まなくてはならないからです。こうした理由から、復習がしっかりできていない子どもが少なくないのです。そこで保護者のかたのサポートとしては、「しっかり復習させる」というのが一番かと思います。間違えた原因をチェックさせ、「なぜそうなったのか?」を考えさせることです。その場合、保護者のかたが説明するのではなく、お子さま自身が考え、保護者のかたに説明するのがポイントと言えるでしょう。

こうした復習方法を積み重ねることで、国語力は確実に伸びていくと思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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