中学入試の理科 参考書的知識減少、テレビで得られる一般教養増加
中学入試の理科の問題では、ここ数年、これまでのパターンにのっとった問題が減少し、思考力を重視した問題が増加しているという。Tサイエンス主宰の恒成国雄氏は、2012年度の理科入試問題(首都圏主要10校)の分析結果をもとに、こう解説する。
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「思考力を重視した問題が増加している傾向は特に女子校に顕著であり、男子校との差がなくなってきました。知識を問うような問題に関しても、全体的に、参考書的な知識が減少し、一般教養の内容が増加しています。一般教養というのは、塾で教えてもらうテキストに載っていることではないけれども知っていてほしいと、学校が思っていることです。テレビの教養番組や図鑑などからの情報・知識です」
そういった一般教養を身に付けるためには、小学校の3・4年生の時期が重要だという。
「3・4年生の間は、参考書や問題集は必要ありません。『図鑑』がバイブルであり、動植物を飼育したり、興味ある実験を行ったりするほうが効果的です。『理科はおもしろい教科なんだ』と思うことが大切です」(恒成氏)
中学受験の対策としては、3・4年生で一般教養を身につけた上で、高学年で思考力を養うことが効果的とのこと。
「志望校によって、5年生か6年生のある時期に知識を系統立てて一気に整理すると効果的です。計算は6年生になるまでやる必要はありません。比例、反比例、比、相似を習得したあとにトレーニングしましょう。6年生の遅くとも夏休みからは、莫大な演習の時間をかけて、思考力を付けていきましょう。思考力は、習うだけではなかなか身に付きません。自分自身で考えないとだめです」(恒成氏)