理科をおもしろいと感じ、思考力を身に付けることが大切[2012年度入試で何が問われたか<理科> 首都圏上位10校の問題を徹底分析 第5回]
首都圏主要10校の2012年度入試問題の分析結果をもとにして、Tサイエンス主宰の恒成国雄先生に、理科入試の出題傾向と今後の対策について解説していただきました。
※以下は、2012年4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの恒成先生の講演を抄録したものです。
※首都圏主要10校として、雙葉中、女子学院中、フェリス女学院中、桜蔭中、武蔵中、駒場東邦中、栄光学園中、麻布中、筑波大学附属駒場中、開成中を分析対象校としました。
理科をおもしろいと感じ、思考力を身に付けることが大切
中学入試ではここ数年、急激にこれまでのパターンにのっとった問題が減り、思考力を重視した問題が増加しています。その傾向は特に女子校に顕著であり、男子校との差がなくなってきました。知識を問うような問題に関しても、全体的に、参考書的な知識が減少し、一般教養の内容が増加しています。一般教養というのは、塾で教えてもらうテキストに載っていることではないけれども知っていてほしいと、学校が思っていることです。テレビの教養番組や図鑑などからの情報・知識です。
3・4年生の間は、参考書や問題集は必要ありません。「図鑑」がバイブルであり、動植物を飼育したり、興味ある実験を行ったりするほうが効果的です。「理科はおもしろい教科なんだ」と思うことが大切です。
志望校によって、5年生か6年生のある時期に知識を系統立てて一気に整理すると効果的です。
計算は6年生になるまでやる必要はありません。比例、反比例、比、相似を習得したあとにトレーニングしましょう。
6年生の遅くとも夏休みからは、莫大な演習の時間をかけて、思考力を付けていきましょう。思考力は、習うだけではなかなか身に付きません。自分自身で考えないとだめです。
男のお子さまであれば、志望するのが筑波大附属駒場中・開成中・駒場東邦中(あるいは同じタイプであれば聖光学院中)なのか、麻布中・栄光学園中なのか、遅くとも6年生の夏休み前までに決めましょう。それによって問題のタイプが違います。また、超難関校を狙う女のお子さまであれば、男のお子さまと同じようなトレーニングが必要です。
併願校として、筑波大附属駒場中・開成中・駒場東邦中(もしくは聖光学院中)志望のお子さまは西大和中・浅野中を、麻布中・栄光学園中志望のお子さまは渋谷教育学園幕張中・渋谷教育学園渋谷中・海城中を目指すのならば対策は必要ありません。また、麻布中が全体的に厳しい場合、今までの勉強で容易に武蔵中に変更できます。そして併願校の過去問を解くことにより、相乗的なトレーニングにもなります。お子さまが志望する学校の問題のタイプを見極めることが大切です。
理科と社会は、最後の1か月でもかなり力を付けることが可能です。あきらめずに最後までがんばってください。それまではエンジンをかけすぎずに、途中で息切れしてしまうことがないようにしてください。