「算数」と「数学」ってどう違う? ニガテをつくらないためにできることは?

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小学校までは「算数」だったのが、中学校からは「数学」に変わります。なぜ名前が変わるのでしょうか? 算数と数学の違いや、中学校から始まる数学でつまずかないために意識したいことをご紹介します。

この記事のポイント

算数と数学の違い

算数と数学の違いを端的にあらわすと、「算数は具体的な題材で考える」かつ「正確に答えを出すことを重視する」のに対し「数学は抽象的な思考をする」かつ「答えを求める過程を重視する」といえるでしょう。

算数は、買い物をする際のおつりなど、日常的な題材を使って、数のしくみやさまざまな計算のしかたを学びます。
ルールを理解し、正確に計算して答えを出す技能を身に付けることが大切です。

一方数学は、日常的な事象を抽象化して考えていくことが求められます。
さらに、答えを導くプロセス(過程)を正しく表現することも求められます。
次から、それぞれ詳しく見ていきましょう。

算数の学習内容と目的

算数と数学には大きくはこのような違いがありますが、基本的にはひとつながりになっていると考えてください。
算数では単純な計算の他にも、図形、変化する関係、データの活用などについて学習しますが、それらはすべて数学での学習につながっています。
つまり、算数の学習でそれぞれの領域の理解を深め、計算を速く・正確に処理する技能を身に付けることが、中学校で数学を学習するうえでの大切な土台になっていきます。

また、算数の学習をとおして、身のまわりの事象から算数(数学)の問題を見いだし、算数(数学)を使って主体的に解決していく「数学的活動」を経験することで、算数の楽しさを感じることもとても大切です。
例)17時から1ページ15分かかる宿題に4ページ取り組む場合、15×4=60で60分後、18時には学習が終わると考え、その後の予定を立てる。

  • 算数は数学を学習するうえでの土台に。
  • 正確に答えを出す技能を身に付け、身のまわりの事象を算数・数学的に考え解決することの楽しさを知るのが大切。

数学の学習内容と目的

数学では算数で学んでいた日常的・具体的な内容を、数式などを使って抽象化していきます。
算数では「りんご3個」など想像しやすいものだったのが、数学では「りんごx個」や「1秒に1cm動く点P」などイメージしにくいものについても考えるようになります。

また、数学では答えをどう導いたかが重要視されるようになっていきます。もちろん、正確に答えを求める力も引き続き問われますが、学年が上がるにつれて過程を説明する記述問題や証明問題が増えていきます。高校数学になると、その傾向はさらに強まります。
数学を学習する目的の1つには、答えを求める過程を表現する活動をとおして、論理的に考え説明する力を付けることがあるといえるでしょう。

また、前述の「数学的活動」をとおして問題解決力をのばすことや、身のまわりにあふれるデータを正しく読み取ったり、処理したりする力をのばすことにもつながります。

  • 数学ではものごとを抽象化し、考えのプロセスを表現することをとおして、論理的思考力を身に付けることが求められている。

中学校からの数学でつまずかないために意識したいこと

算数は好きだったのに数学になってつまずいてしまうというケースがしばしば見られます。これには大きく2つの原因があります。

一つ目は算数内容の定着が不十分であること。土台がしっかりしていないと数学の内容は積み上がりません。
たとえば、中1では負の数や文字を使った計算を学習しますが、算数内容の「分数の計算」ができていないと解けない問題が多く出題されます。
つまずいているなと感じたら、ためらわずに1つ前の学習内容に戻って確実に定着させていくことが大切です。これは中2・3や高校の数学へと学習を続けていくうえでも非常に重要な点です。

二つ目の原因は算数と数学の違いによるものです。これまでご紹介してきたとおり、数学は抽象的で解く過程が重視されるようになっていきます。このギャップに戸惑ってしまうわけです。
解く過程、つまり「なぜそうなるのか」が重要なので、途中式をしっかり書く習慣付けが有効です。また、間違えた問題も解けるようになるまで繰り返し解くといった積み重ねが大切になっていきます。

  • 数学は積み上げ教科なので、つまずいたら過去内容の復習を。
  • 数学は解く過程を重要視するので、途中式を書くことや、繰り返し解くことが大切。

まとめ & 実践 TIPS

算数と数学はつながっているものの、算数と数学には考え方や求められる解答に違いがあります。
この違いを念頭に置き、今回ご紹介した数学の学習で意識すべきことを実践することで、数学のニガテをつくらないようにしていきましょう。

株式会社プランディット 数学課 大沢
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの算数・数学の教材編集を担当。

プロフィール



1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。

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