難関私立女子中の最新入試問題分析「算数は85%が合格ライン」
受験対策として最も有効な方法の1つが、「過去問の分析」。そこで、宮本算数教室の宮本哲也氏が、首都圏上位校の2012年度の入試問題を、 (1)難易度、(2)要求される能力、(3)目新しさという3つの軸から分析し、その中から「合否を分けた問題」「合否に影響のなかった問題」「低学年でもじっくり挑戦させたい問題」はどの問題だったのかを解説する。
※以下は、2012年4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの宮本氏の講演を抄録したものです。
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【桜蔭中・2012年度入試問題 算数】
女子校の中では問題の難しさが別格の桜蔭中ですが、今年度の難易度は昨年度と同様に易しめでした。大問5題、小問13問の構成で、試験時間は50分です。小問が昨年度の18問から13問に減りました。合格に必要な得点率は85%です。10問正解で77%、11問正解で85%ですから、難易度Bの問題を2問捨てれば合格できます。
大問1は、どれも易しいので全問正解しなければいけません。(1)の計算2問。これは2問で5分かかってもかまいませんので確実に正解しましょう。絶対に落としてはいけません。
大問2は回転体の問題。Aのレベルをつけていますが、他の女子校であれば実はBかCの問題です。桜蔭中のレベルとしては解けないといけないのですが、重たい問題です。しかし丁寧に計算して全問正解しましょう。
大問3はニュートン算です。上位の学校はよくニュートン算が出ます。ひとひねりされていますが、難しくはありません。正解しましょう。
「2012年度の合否を分けた1題」は大問4です。非常に有名な規則性の問題です。一度は解いたことのある問題でしょう。(1)(2)は何とかなると思いますが、(3)はけっこう面倒です。うまく整理しないと答えにたどり着きません。ただ、低学年のお子さまで算数が好きそうであれば、すべて書き出せば答えが出せますので、取り組む価値のある問題です。解けるということがわかると、難しい問題に対する拒否反応がなくなります。ただ実際の入試の場合は、時間がかかると判断したら(3)は捨ててもいいでしょう。
大問5の点の移動の問題は、(1)(2)は解けると思いますが、(3)は開成中でよく出るタイプの問題です。女子校ではあまり見ません。ひと工夫必要です。難しいです。
今年の桜蔭中の攻略法は、大問2の回転体でつまずかないこと。これを捨てると受かりません。大問3のニュートン算もちょっと目新しいですが、何とかして整理すること。大問2と大問3はできないといけません。そして大問4の(3)はいったん飛ばして、大問5の(1)(2)をしっかり正解すること。これが大事です。
試験時間中に焦ると、普段はできる問題もできなくなってしまうことがありますので、おのれを知ることが大切です。自分の苦手を知っておき、これはできないと思ったら飛ばすことです。