2012年度入試問題 学校別分析3 【武蔵中、駒場東邦中、栄光学園中】[2012年度入試で何が問われたか<算数> 首都圏上位10校の問題を徹底分析 第4回]

 首都圏上位10校の入試問題を、1問1問、(1)難易度、(2)要求される能力、(3)目新しさという3つの軸から分析。その中から「合否を分けた問題」「合否に影響のなかった問題」「低学年でもじっくり挑戦させたい問題」はどの問題だったのかを、宮本算数教室の宮本哲也先生にお話しいただきました。

※以下は、2012年4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの宮本先生の講演を抄録したものです。



2012年度入試問題 学校別分析4 【武蔵中、駒場東邦中、栄光学園中】

 入試問題分析の第3回目、今回は男子校の分析です。
 まず、武蔵中、駒場東邦中、栄光学園中です。

武蔵中
 大問4題、小問10問の構成で、試験時間は50分です。出題の難易度は昨年より下がりました。合格に必要な得点率は85%です。9問正解しなくてはなりません。

 大問1は、どちらもとても簡単です。全問正解しましょう。5分以内で解きたいところです。

 大問2は、(1)が比の問題で(2)がニュートン算です。この展開のしかたは目新しいのですが、問題自体は易しいです。桜蔭中のニュートン算のほうが難しいです。これも5分以内で解きましょう。

 大問3は平面図形の問題です。ちょっと図がごちゃごちゃしているので、自分なりに図を描き直したほうが解きやすいかもしれません。丁寧に整理して全問正解しましょう。ここは10分かかってもかまいませんので、正解しましょう。

 「2012年度の合否を分けた1題」は大問4です。男子の上位校で出る典型的な問題です。
 大問3までで20分使っている計算になりますので、残りの30分を使って解きましょう。難しくはありません。(4)が少し難しいと思いますが、解いてみたら比較的すんなり解けました。少し書き出せばしくみがわかるでしょう。

 今年の武蔵中の攻略法は、算数で満点をとること。算数が得意なお子さまであれば可能です。ただ、易しすぎるほどに、1問のミスが大きな差を生んでしまいますので、ミスをしないように気を付けましょう。


駒場東邦中
 今年度の駒場東邦中の問題はおもしろかったです。大問4題、小問10問の構成で、試験時間は60分です。昨年度と、大問4題は変わりませんが、小問の合計が14問から10問に減りました。
 出題の難易度は昨年より上がりました。合格に必要な得点率は70%です。

 大問1は平面図形の問題です。(1)は非常に簡単なのですが、(2)はなかなか手ごわいです。図がごちゃごちゃしているので、自分なりの図を描き直したほうが解きやすいかもしれません。

 大問2は今年のはやり、数の性質です。(1)は試行錯誤して調べ、(2)では(1)でやったことをもとにして4桁の条件に合う整数を見つける。「参考の式」の意味が理解できれば解けます。解いてみて非常におもしろかったです。手ごわいけれどもおもしろい問題です。

 大問3は平面図形の問題。長方形の内側を円が回転する問題はよく出ますが、直角三角形の中を円が回転する問題はちょっと珍しいです。ただ(1)が大きなヒントになっているので、(2)も解きやすいと思います。これは10分弱で全問正解したいところです。

 「2012年度の合否を分けた1題」は大問4です。斬新で非常に面白い問題です。
わかってしまえば3問一度に解けるのですが、見たことがない問題なので差が付きやすいです。「2012年度の合否を分けた1題」はこの問題です。前半の問題が早く解ければこの問題に20分使うことができます。20分使えばあらゆる方法を駆使して条件を整理できます。1題に10時間かけられる忍耐力をつけておけば何とかなる問題ではないかと思われます。


栄光学園中
 大問5題、小問19問の構成で、試験時間は60分です。出題の難易度は昨年度より少し上がりました。合格に必要な得点率は70%です。

 大問1は(1)は簡単です。(2)(3)は最短距離でないところが目新しいですが、すべて書き出しても必ず全問正解しましょう。10分かかっても正解すべき問題です。

 大問2は立体の展開図の問題です。(1)は簡単です。(2)は7通りと書いてくれているので、ここも10分かかっても全部調べ上げて正解しましょう。

 「2012年度の合否を分けた1題」は大問3です。今年度流行の数の性質の問題です。
 レベルの高いおもしろい問題でした。(1)(2)で試行錯誤しながらしくみを理解し、それを(3)(4)(5)で応用発展させる。おもしろい問題なのですが、危険なのは書き出しにどっぷりとはまって時間を忘れてしまうこと。(3)まではそれほど時間がかからないと思うのですが、(4)(5)はてこずりそうなのでいったん飛ばしたほうが賢明かもしれません。

 大問4は(2)が論証なのですが、それほど難しくはありません。この問題は必ず全問正解しなくてはなりません。そのためにも大問3の(4)(5)に時間を使いすぎてはいけません。

 大問5は斬新な点の移動の問題です。このような問題は見たことがありません。(1)(2)はまだよいのですが、(3)(4)は難しいです。時間が果てしなくかかります。(4)は捨ててもかまいません。

 今年度の栄光学園中の問題では、70%をとるためには、19問のうち13問取って68%、14問取ると74%ですので、5問は落としても大丈夫です。そうすると難易度Cの問題を2問落として、難易度Bの問題をどれか1問解ければ合格ラインに届きます。難易度Cの問題は本当に時間がかかるので、そこで立ち止まりすぎないことがポイントです。

 人間の頭は複合思考ができるようになっていますので、一度飛ばしてあとで戻ると「できた!」ということもあります。



各中学校の入試問題はこちらでご確認ください
武蔵中学校 10年間入試と研究 平成25年度用中学受験 16駒場東邦中学校 10年間入試と研究 平成25年度用中学受験 4栄光学園中学校 10年間入試と研究 平成25年度用中学受験 301
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