2012年度入試問題 学校別分析1 【雙葉中、女子学院中】[2012年度入試で何が問われたか<算数> 首都圏上位10校の問題を徹底分析 第2回]

 首都圏上位10校の入試問題を、1問1問、(1)難易度、(2)要求される能力、(3)目新しさという3つの軸から分析。その中から「合否を分けた問題」「合否に影響のなかった問題」「低学年でもじっくり挑戦させたい問題」はどの問題だったのかを、宮本算数教室の宮本哲也先生にお話しいただきました。
※以下は、2012年4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの宮本先生の講演を抄録したものです。



2012年度入試問題 学校別分析1 【雙葉中、女子学院中】

 それでは今回から具体的な学校別の入試問題分析を行います。
 まず雙葉中、女子学院中の分析です。

雙葉中
 大問6題、小問12問の構成で、試験時間は50分です。出題の難易度は昨年に比べると少し易しくなりました。合格に必要な得点率は65%です。合格最低点が公表されていて、昨年度が300満点中205点、今年度が190点ですが、算数はむしろ易しくなった気がします。小問12問中7問正解で58%、8問正解で67%ですので、難易度Bの問題を4問落としても合格点がとれるということです。

 問題を順番に見ていきます。
 まず大問1の(1)の計算問題です。雙葉中の計算問題はとても面倒なのですが、ぜったいにここで落としてはいけません。ぜったいに間違えないために、3回は解くくせをつけましょう。□を求める問題の場合は、答えが出たら□に当てはめて解き直しましょう。3~4分かかってもかまいませんので、必ず解き直して正解を導き出しましょう。(2)(3)は簡単です。短時間で解くようこころがけましょう。

 大問2は暦がからむ問題で、ちょっと整理が必要です。こういう問題の危険なところは書き出しに没頭してしまうと時間を忘れてしまうということです。前半で時間を使いすぎると最後まで解けなくなってしまうので、すぐに解けないなと思ったらいったんとばしましょう。

 大問3は、文章題ですが、分数の計算練習のような問題です。易しい問題ですので必ず正解しましょう。

 「2012年度の合否を分けた1題」は大問4の速さの問題です。
 計算が面倒ですが、地道に解いていくしかありません。(1)は必ず正解してほしいですが、(2)で時間を使いすぎるといけないので、わからないようでしたら先に進みましょう。

 大問5は、これまた(1)は計算が面倒ですが、雙葉中はとにかく(1)はすべて必ず正解できなければいけませんので、きちんと計算しましょう。(2)は表にして書いていけば答えが出ますが、慣れていないとちょっととまどうかもしれません。捨ててもかまいません。

 大問6は、また速さの問題です。計算が少し面倒ですが難問ではありません。他の問題と同様(2)が少し難しいです。

 合格するためのポイントは、難易度Bの問題を難しいと判断して飛ばせるかどうかにかかっています。難易度Bの問題を後回しにして難易度Aの問題をすべて正解し、最後に飛ばした難易度Bの問題に戻って、1問でも正解できれば合格点をとることができます。

 今年度は考えさせる問題があまりなく、計算力勝負になりました。


女子学院中
 大問7題、小問15問の構成で、試験時間は40分。ものすごく忙しいです。ただ問題の難易度は、昨年度と比較すると2段階くらい下がりました。したがって80%くらいはとらないと合格が厳しいかもしれません。小問12問正解で80%ですから、難易度Bの問題を2つ落として、難易度Aの問題をあと1つ落としても大丈夫です。

 大問1の(1)の計算問題は、雙葉中より取り組みやすいです。これも最低2回は解いて確実に正解してから(2)以降に進みましょう。(2)(3)は難しくないので、あっさり解けるでしょう。(4)の角度の問題ですが、上位校で角度の問題が出るのは、女子学院中とフェリス女学院中だけです。
 女子学院中の角度の問題はいつも難しいことが多く、私は「地雷問題」と呼んでいるのですが、今年度は簡単でした。(5)も簡単でここまではつまずくところがありません。ただ(6)は図形が苦手なお子さまは恐らく解けない問題だと思います。図形の問題の危険なところは、もうちょっとで解けそうといった感覚がずっと続くことです。そうすると時間を使ってしまうことになりますので、図形が苦手なお子さまは、(6)はちゅうちょなく捨てたほうがよいでしょう。

 大問2は、見た目が目新しいですが、シンプルな倍数の問題です。

 大問3は、よく出る古典的な問題です。おそらく何度も解いたことがある問題でしょう。書き出していけば低学年でも答えが出せますので取り組んでみましょう。

 大問4は、和と差の問題です。2分くらいで解きましょう。

 大問5は一見難しそうな立体に見えますが、直方体を切断したと書いてありますので直方体に戻して考えれば簡単です。大問1の(6)の問題より簡単です。

 大問6の(2)の後半の問題は、今年度の女子学院中の問題の中で最も難しい問題でした。

 大問7は、比が不得意でなければ簡単な問題です。3~4分で解くことができます。

 「2012年度の合否を分けた1題」は大問7です。
 この問題自体は簡単なのですが、ここまで解ききることができるかどうかが合否の分かれ目になったのではないでしょうか。かつての多量速解型の出題傾向に戻りました。

 ポイントは大問1の(6)と大問6の(2)に時間をとられすぎないことです。



各中学校の入試問題はこちらでご確認ください
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