中三の春休み、好きにさせて自主性を育てる 入学までをどう過ごす?[高校受験]

 そろそろほとんどのお子さまの受験が終了していることと思います。そこでここからはすべてのかたに当てはまるお話をしましょう。



■入学までの期間は、好きなことをやらせる

 教育に熱心な保護者のかたの中には、入学手続きが終わると、すぐに塾の春期講習の申し込みに走るかたがいます。常にお子さまを勉強する環境に置いておかないと不安で、そのために先へ先へと準備するクセがついてしまっているのです。
 また、4月からどこの塾に通わせたらよいかと、塾探しも始まります。

 ですが、ちょっと待ってください。のべつ幕なしに勉強をし続けると、だんだん勉強へのモチベーションは低下します。まじめで、難関高校に向けてハードに勉強し続けてきたお子さまの場合は、ここで休息の時間を入れ、思いっきり気分転換し、エネルギーを補給しておかないと、高校に進んでからエネルギーが枯渇します。
 せっかく入学したのに、高1で早くも学習意欲を喪失してしまうお子さまが出るのはこうしたケースです。こうしたお子さまの場合は、勉強しない期間があって初めて、勉強する気も起きるのです。

 もちろん自分が好きなことやしたいことがあり、いくらやっても負担にならないというような種類の勉強の場合はこの限りではありません。お子さまにそうしたものがあり、時間のある今それに集中したいというのであれば、どんどんそれをやらせればいいと思います。そうしたものが将来の仕事につながったり、ハイレベルな趣味へと発展したりして、お子さまの人生を支えてくれるものになるからです。

 私がストップをかけたい勉強というのは、させられる「受け身」の勉強です。これまでの受験勉強は、限りある時間の中で大量の内容をこなす必要からどうしても決まったことを指示されたとおりにやる受け身の勉強でした。これをあまりにもやり続けると、無意識のうちに勉強とは「教わること(与えられたものをこなすこと)」という姿勢になってしまい、自分で何をどうやるべきかを決められなくなってしまうのです。

 入学までの期間は、お子さまの好きなことをさせてあげてはどうでしょう。そうしたものをやることで、受け身でなく自分からやる、どうやるか工夫する姿勢が身に付くのです。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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