こんな保護者にならないでください 入学までをどう過ごす?[高校受験]

■本人の前を保護者が歩いていて困る

 社会のいろんな場面で格差が広がってきていることは皆さんも新聞報道などを通じて感じているでしょう。少子化・高齢化で、日本の社会がこれまでのようには順調に発展しないことも明らかになり、将来の社会像は不透明です。それだけに、保護者のかたはお子さまの将来を少しでも安定したものにしてあげたいと考え、その一つの手段として有名大学に我が子を進ませようと一生懸命になっています。

 私は、私立学校の先生との付き合いが多いのですが、最近の保護者のかたは学校にいろんな要求をしてくるというのです。その中身として、下記のようなことをしばしばうかがいます。

・できるだけ難しい教材を使ってください
・補習・講習をたくさんやってください
・(教科書の)先取り学習をしてください
・高2からは演習授業をしてください

 ひたすら我が子を難関大学に入れること、受験学力をアップさせることに熱心で、一生懸命だそうです。またこうした保護者のかたは、お子さまそっちのけで自分から実際に行動も起こすといいます。
 「本人の前を保護者が歩いていて困る」というのが、先生がたの述懐です。

 こうして保護者のかたが前を歩き、保護者のかたが決めて、お子さまがその敷かれたレールの上を素直に歩いた時に、下のような大学生になってしまうことが多いのです。

・履修届けを一人では出せない
・友達づくりも大学がお膳立てしないとできない
・課題研究では、何をやっていいかわからない
・個人では優秀でも、グループで協力することが苦手で、グループ研究ができない

 冒頭に述べたような社会状況から、つい心配して手を出したくなります。しかし、それはこれまでにお話ししたように、お子さまを一人前の大人にするうえではまったく逆効果なのです。

 自分の頭で考えられない、判断できない、友達と協力できない、ガッツがない……。
 お子さまをこんなふうにしないためにも、お子さまが高校に進学したら「手を出すことは足を引っ張ること」、そう考えて我慢してください。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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